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《目次》
プロローグ
第1章 テレビマンとは何者か
第2章 大事なのは、誰と仕事をするか
第3章 表現とタブー
第4章 放送は常に未完である
第5章 世の中には理解不能な現実がある
第6章 ドキュメンタリーを、誰が求めているのか
第7章 「ダメモト」が表現世界を開く──〈司法シリーズ〉のこと
第8章 「ドキュメンタリー・ドラマ」とは何か
第9章 あの時から、ドキュメンタリーは閉塞した世界だった
第10章 題材は探すのではなく、出会うもの
第11章 組織の中の職人は茨の道
第12章 「わかりやすさ」という病
第13章 樹木希林ふたたび
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まず私たちの生命と暮らしを脅かす事実を知ること。それにたいしてどのような認識を持つのか。この国のみならず、世界を壊滅させる災厄とどう向き合うのか。次世代に対してどう責任を取るのか、そもそも責任を取れるのか。自分に何ができるのか。この現実にどう向き合うのか。それを教えるのが教育のはずだが、この国には教育も哲学も存在しない。
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小出 裕章,渡辺 満久,明石 昇二郎
原発よりもはるかに危険な六ヶ所村再処理工場。私たちの日々の生活が薄氷の上で営まれていることを痛感させられる。同時に、この国には「国民の生命・財産・自由を守り抜く!」と威勢のいいことを言う総理大臣と無能の政治家しかいないことに絶望する。核燃料サイクルと言い、下北半島の再処理工場と言い、3兆円以上の国民の税金がつぎ込まれ、いまだ後始末も将来の見通しもたっていない現実をどう考えているのか。彼らは核兵器を持ちたいという願望と税金をロンダリングして私腹を肥やすことしか眼中にない。北海道の地震だけに目を奪われてはならない。六ヶ所村は今回の震源地の目と鼻の先にあるのだ。
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D.J.ブーアスティン
私にとっては古典の中の古典。三度読みました。そしてその慧眼にいまだに驚いています。
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殺人犯はそこにいる (新潮文庫)
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清水 潔
ジャーナリストと称する職業がある。自称ジャーナリストもいれば、テレビのコメンテーターとしてリベラルに媚びる政権批判をし、名を売り、講演で稼ぐ職業をジャーナリストと呼ぶ者もいる。とんだ茶番である。ジャーナリストとはどこまでも「事実」を追いかける。テレビに出て能天気な解釈や感想を垂れ流している暇などないはずだ。ジャーナリストを志す若い人には清水氏の著作は避けて通れない。その名に値する本物のジャーナリストがここにいる。
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福田 直子
おそらく自民党・安倍政権はSNSを駆使し、分析するデータサイエンス(日本版なのでレベルはまだ低いですが)の重要性に着目し、選挙にどうすれば勝てるか、自分たちに有利な世論を形成し、国民を誘導・分断するにはどうすればいいのかが分かっているのです。そのためのノウハウも蓄積しつつあります。安倍首相の貧困な語彙力からは想像できないカタカナ言葉を聞いていると、それがSNSを分析している集団から教えられたものであることがよくわかります。ただ彼らの致命的な弱点は将来の社会を導く理想がないことです。おそらく、思いもかけない結果が待っていることでしょう。なぜなら、所詮、彼らはアメリカとビッグデータの奴隷でしかないのですから。これからの政治は、好むと好まざるとにかかわらず、この本に書かれていること抜きには語れなくなっているのです。
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安倍政権に対するメディアの忖度が云々されていますが、元々同じ穴のムジナなのです。忘れてならないのは、日中戦争から太平洋戦争にかけて、日本の世論と新聞のほぼ全部は好戦的・拡張主義的だったのです。しかも、当時はまだ言論統制体制が発足していなかったのです。この本は、そうした「一貫して好戦的な世論とそれに便乗する新聞」が先導し、近衛文麿はじめ文民政治家がそれに便乗、軍部がさらに便乗、という構図を一次資料で克明に論証しています。安倍政権を支持するネトウヨの皆さんの日本語力では、まともな読解は無理ですので勧めません。一方、正確な歴史を知るためには「世論」の不気味さを知ることだと気づいている若い人には是非一読を勧めます。
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茫漠の曠野 ノモンハン
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松本草平
著者は大分市にある『天心堂へつぎ病院』の院長、松本文六氏の御尊父、松本草平(本名松本弘)氏です。詳しくは、ブログで紹介したいと思いますが、第一次資料として極めて価値の高いものです。40年ぶりに復刻版を出された松本文六氏と出版社に感謝する他ありません。
戦略も何もない、無謀・無慈悲な戦争を語り継ぐことは、最も崇高で重要な人間の営為だと私は考えています。作家の司馬遼太郎氏は、電話で草平氏に次のように伝えてきたそうです。「先生の臨場感のあるノモンハン戦記に出会えて本当にありがとうございました。私は大東亜戦争の折、戦車隊の一員として従軍しましたが、先生の従軍記以上のものを創ることはできません。」と。
一人でも多くの方がこの本を読まれることを望みます。ちなみに松本文六氏は伊方原発差止め訴訟の原告でもあります。その縁で、この本に出会うことができました。
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「南京事件」を調査せよ (文春文庫)
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清水 潔
全国のネトウヨの皆さんへの推薦図書です。清水氏のこの本を読んでから、「南京事件はなかった!」「南京事件は捏造だ!」と叫びましょうネ。
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広瀬隆
広瀬氏をアジテーターだの、オオカミ少年だの、悲観主義に過ぎると言って批判する人がいる。しかし、ブログで何度も述べてきたように、真の悲観主義こそがマインドコントールによって奴隷根性のしみ込んだ私たちの精神を浄化してくれるのだ。そもそも無知では悲観が生まれようもないではないか。国などいくら破れても結構。せめて山河だけでも次世代に残そうと考える人ならぜひとも読むべき本である。いや、これから幾多の春秋に富む若い人にこそすすめたい。
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チャヴ 弱者を敵視する社会
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オーウェン・ジョーンズ,Owen Jones
【本書への賛辞】

「怒りが生んだ、最高の本」
──ガーディアン紙

最高の論争がみなそうであるように、知性に裏打ちされた怒りが本書を支えている。
──エコノミスト誌

暴動や世界中に広がったオキュパイ運動に照らして考えると、分断社会に関する著者の鋭い分析は、
不気味なほど未来を予知していたことがわかる。
──アートフォーラム誌

情熱と、思いやりと、すぐれた道徳性が結実した仕事だ。
──ニューヨーク・タイムズ紙

政治の定説を見直す大胆な試み。著者は戦後のイギリス史を縦横無尽に往き来し、
階級、文化、アイデンティティといった複雑な問題を軽々とまとめてみせ、
結果として「階級」問題に火をつけ、大きな効果をあげている。
──インディペンデント紙

いまの制度が貧しい人々を見捨てていることに対する苛烈な警告──それが本書だ。
──ブログサイト「デイリー・ビースト」

ジョーンズは、「地の塩」だった労働者階級が政治のせいで「地のクズ」と見なされるようになった経緯を見事に説明している。
──タイムズ紙

この本は、新しいタイプの階級嫌悪と、その裏にあるものを痛烈にあばいて見せてくれる。
──ジョン・ケアリー(The Intellectuals and the Masses著者)

これは「イギリスはおおむね階級のない社会である」という考え方への、論理的で情報満載の大反撃だ。
──オブザーバー紙

情熱的で示唆に富む……この声が届くことを心から願う。
──スコットランド・オン・サンデー紙
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紹介していない本が山のようにあります。数日前にこの本を本棚の奥から引っ張り出し再読しました。いや〜面白かった。。とにかくこの本のことを忘れていた自分が信じられない。読んでない人に熱烈に勧めます。ハイ。
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英語の実際的研究 (1969年)
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高校生にとって、今でも一押しの不朽の名著。でもこの本をことを知っている英語教師は少ないと思います。是非復刊してほしいものです。
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スノーデン 日本への警告 (集英社新書)
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エドワード・スノーデン,青木 理,井桁大介,金昌浩,ベン・ワイズナー,宮下紘,マリコ・ヒロセ
2017年4月18日、朝日新聞がようやく「パノプティプコン」を取り上げました。遅すぎますね。
これから先の日本社会は、ますます荒廃が進み、国民の不満が頂点に達し、やがて爆発します。それを未然に防ぐために、国は国民の監視を強化します。
実際アメリカでは「愛国者法」により、電子メールや携帯の通話履歴が監視の対象になっています。誰が、いつ、どこで、何を読んで、誰と通信を交わしたか、すべて国に筒抜けです。
「パノプティプコン」とはフランスの哲学者フーコーが用いた概念ですが、国民が刑務所の囚人のように監視される体制を言います。監視者の姿は見えませんが、囚人は監視者不在でも、監視を意識することによって管理統制されるのです。これを「パノプティシズム」と言います。
このシステムから解放されるためには、権力がどう管理・統制しようとしているかを知らねばなりません。この本はそれを知るための第一歩です。あなたが無知のまま、奴隷の人生を送りたければ、読む必要はありません。
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A.ミラー
アリスミラーのこの本は、塾を始めるきっかけになりました。ただ生活のためだけなら、他のことをしていたでしょう。『才能ある子のドラマ』とあわせて、当時の私には衝撃的な本でした。人生はどこでどう転ぶかわかりません。人間の奥深さを知ることで、何とか自分を維持していたのです。この本を読むと当時のことが、ありありと思い出されます。ある意味で、私の人生を方向づけた本かもしれません。
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NHK「東海村臨界事故」取材班

2月18日のブログでも書きましたが、仕事のために読むビジネス書の類は、最終的には効率を重視し、最小の資本と労力の投下で、いかにして最大の利益を上げるかということに尽きていると思います。そのための働き方改革であり、そのための賃上げです。そのための人心掌握術であり、顧客対応です。ビジネス書を読めば読むほど、人間は軽薄になり、視野が狭くなっていきます。もしあなたがそれを自覚するきっかけがほしいなら、是非この本を読むことを勧めます。読書はビジネスのためにするのではないということが分かると思います。この本は私たちの日常の風景を一変させるだけのインパクトを持っています。いわば、ことばの最高の意味における「闖入者」なのです。
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服従
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瀬木 比呂志
この本はまだ発売されていません。自分で読んでいない本を推薦するのは邪道でしょう。しかし、これまでの『絶望の裁判所』『ニッポンの裁判』(ともに講談社現代新書)に続く裁判所、司法批判の第3弾が長編の権力小説だということで、過去2冊の本の面白さからして、推薦に値する本だと思いました。『原発ホワイトアウト』の最高裁判所ヴァージョンだと思います。読んでからコメントを追加したいと思います。
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アモン・シェイ
学校なる場所に通っていた時、毎年夏になると課題図書を読んで、読書感想文を書かねばならないのが苦痛でした。課題図書の選定には学校と書店の密約があるに違いないと思っていたくらいです。

偶然巡り合った面白い本の感想を書くのならまだ我慢できたかもしれません。つくづく学校というところは、余計なことをしてくれると思ったものです。

あまりにめんどうくさいので、「あとがき」を参考に、あらすじを書いて提出したら、トリプルAをもらいました。

学校というところは、もしかしたら、人生の退屈に耐える訓練をする場所だったのかもしれません。この本を読んで、改めてそのことを確認しました。別に先生を責めているわけではありません。それほど自覚的に生きるということは難しいのだとため息をついているだけです。
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想田和弘監督の観察映画。音楽による演出は一切なく、徹頭徹尾監督の視点で撮られたドキュメンタリー映画。見終わった後、日本の選挙風土の貧困さが浮かび上がる。この国に民主主義はない、ということを改めて確認し、そこから出発するしかない。その勇気を持つ人には必見の映画です。合わせて『選挙2』もどうぞ。
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マックス ヴェーバー
ウェーバーの死の1年前、1919年、学生達に向けた講演の記録です。
一部抜粋します。

「自分が世間に対して捧げようとするものに比べて、現実の世の中が―自分の立場からみて―どんなに愚かであり卑俗であっても、断じてく挫けない人間。どんな事態に直面しても「それにもかかわらず!」と言い切る自信のある人間。そういう人間だけが政治への「天職」を持つ。」(P105〜106)

「さて、ここにおいでの諸君、10年後にもう一度この点について話し合おうではないか。残念ながら私はあれやこれやいろんな理由から、どうも悪い予感がしてならないのだが、10年後には反動の時代がとっくに始まっていて、諸君の多くの人が―正直に言って私もだが―期待していたことのまずほとんどは、まさか全部でもあるまいが、少なくとも外見上たいていのものは、実現されていないだろう。」(P103〜104)

10年後には、ワイマール体制は機能不全に陥り、1933年にはヒトラーが首相に就任します。

平和憲法は、日本人にとって310万人の命と引き換えに手に入れた唯一と言っていい理念であり、アイデンティティーでした。その唯一の誇りを、日本人は損得勘定で葬り去ろうとしています。言い古された言葉ですが、歴史は繰り返すのです。
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中沢 新一
小学校を卒業するころ、将来なりたい職業として思い描いていたのが、天文学者か生物学者でした。プロ野球選手は、自分のセンスでは無理だと悟りました。物ごころついたころから興味があったのは宇宙や昆虫や植物の世界でした。そんなわけで南方熊樟に出会うのは必然的な成り行きだったのです。人間は言葉によって世界を把握しますが、それ以外の把握の仕方があるはずだと、ずっと思ってきました。南方熊樟は、小林秀雄と同じく、直観による世界の把握の仕方を教えてくれました。この本は、言葉によって構成された世界秩序の外に出て、世界を改めて考えたい人に大いなるヒントをあたえてくれます。安倍政権によるゴキブリのフンのような、あまりにばかばかしい政治状況を見せつけられているので、精神の衛生学として一気に読みました。
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こどもの教育から裏金を使ったオリンピック誘致、原発再稼働、戦争準備から武器の売却、安倍政権の裏の権力としてメディアに絶大な影響力を行使する電通。私たちは電通が作り上げた「箱」の中でいいようにマインドコントロールされている。自分の意見だと思っていたものが、実はそう思わされていただけだということに気づかなければならない。音楽をはじめとする芸能情報、その中で踊らされるミュージシャンやタレント、果てはデザイン業界までを席巻する。今や電通の介在しないメディアはないと言ってもいい。利権あるところに電通あり、です。
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前作『日本はなぜ「基地」と「原発」止められないのか』に続く著者渾身の力作。自分の人生を生きたい人にすすめます。ただそれだけです。18歳で選挙権が与えらる高校生が政治を考える際の基本的なテキストになる日がくるといいですね。無理でしょうが。これ以上余計なコメントはしません。まず手に取ってみてください。
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メディアで取り上げられるよりはるか前から日本会議の存在について私は言及していました。電通と同じくタブー視するメディアには心底失望したものです。報道すればタブーはタブーでなくなるのです。何を恐れているのでしょうか。干されれば、何とか生活をする工面をすればよい。それだけのことです。
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磯崎新
帯に「祝祭都市にスタジアムはいらない」とあります。そもそも2020年まで天災と原発事故をやり過ごし、経済危機を乗り越えて存在しているでしょうか。極めて怪しいですね。偶然書店で手に取って読みました。彼の文章を読むと、建築は現世の権力に奉仕するものではなく、想像力の王国を作るものだと思わされます。建築にそれほど興味のない人でも、読めます。いや、いつのまにか引き込まれているでしょう。
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難関中高一貫校で学び、東大に合格しても、それはもはや知性のバロメーターではありません。この本に書かれていることが真実だと見破れることこそが本物の知性です。ニセの知性は既得権益を守るためにはどんな屁理屈でもひねり出します。おまえは何も知らないと言って他人を見下し、金と権力におもねるのです。ニセの知性は理想の灯を掲げることができません。「脳内お花畑」などという幼稚な言葉を使って揶揄するしかないのです。彼らの決まり文句は、他国が攻めてきたらどうするのかという、それこそ「脳内お花畑」的なものです。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」とは、まさに至言です。
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私の元塾生の縁でお会いしたことのある烏賀陽弘道氏の渾身のレポート。事実を丹念に調べ上げ(これがジャーナリストの本来やることです)事実をして語らしめることのできる稀有なジャーナリスト。この本を読まずに福島第一原発の事故の本質に迫ることはできない。ダブル選挙の前に一人でも多くの国民が読むことを期待します。
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松岡正剛氏の本はどれも面白く、シリーズの千夜千冊を除けばほとんど読んでいます。『多読術』は、高校生にぜひ勧めたいと思います。高校時代に、この本を読んでおくと、さまざまな分野の知的見取り図を手に入れることができます。学校の授業だけではなく、この本を手掛かりにして知の荒野に歩みを進めてほしいと思います。
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カント
安倍首相は「この道しかない」と言って消費税を上げ、集団的自衛権の行使を可能にする閣議決定をし、公約とは正反対のTPPを批准することで、日本の文化=アイデンティティーを破壊しようとしています。

もし私たちが生き延びたければ、そのヒントがこの本の中に書かれています。日本は超大国の「夢」を代弁するだけの国になってはなりません。
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山本 太郎
山本氏の国会での質問を、本になって改めて読み直して感じることは、文字通り「みんなが聞きたい」質問をしてくれたということです。安倍首相が小学生に「なぜ政治家になったのですか」と質問された時、「父親も祖父も政治家をしていたからです」と答えていました。小学生相手に、何と言う悲しい答えでしょうか。語るべき理想を持たない政治家など、所詮は官僚に利用されるだけです。それに対して、山本氏には語るべき理想がある。「政治なんてそんなものさ」というリアリストが発散する腐臭を吹き飛ばすさわやかさがある。それは、彼の身体には収まりきれない理想が持つ力そのものです。彼は言います。「力を貸してほしい。少なくとも、あなたが必要だと思われる社会、私が必要だと思われる社会を作っていきたい。そう思うんです」と。日本の総理大臣にふさわしいのはどちらでしょうか。
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転換期の日本へ―「パックス・アメリカーナ」か「パックス・アジア」か (NHK出版新書 423)
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ジョン・W・ダワー,ガバン・マコーマック
おそらく、日本人自身よりも海外の知識人のほうが、日本の問題を正確にとらえていると思わせる本です。読み終えて何気なくテレビを見たら、わが大分県選出の国会議員、岩屋毅氏と江藤晟一氏が、2016年ミスユニバース大分県代表を選ぶ催し物に出ていました。名誉顧問だそうです。いかがわしい宗教団体をバックに票を稼ぐだけでは飽き足らず、こんな大会に顔を出して名前を売ろうとする。大分市長の佐藤樹一郎氏も出席していました。このお三方は、こんなことをするために国会議員や市長になったのでしょうか。国民の税金を使ってやることといえば、テレビに出演してにやけた顔をさらすことでしょうか。もう物事の軽重が全く分かっていません。せめてこの本くらい読んではどうでしょうか。私はこの本に書かれていることの大部分に賛成です。
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出版されてすぐ読みました。国会で、読んでもいないのに、安倍首相が躍起になって否定した事実が書かれています。蓮池氏はあちこちから人格攻撃の対象とされてきましたが、自分にも落ち度があったと認めています。自分は総理大臣なのだから落ち度はないと居直る人間とは好対照です。この本を読んで、拉致問題について今一度国民が考えることを望みます。
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2年半ほど前に求めて、一気に読みました。マルクスの『資本論』の中に書かれていることを、著者が自分なりに消化し実践していく過程が書かれているので、一種のドキュメンタリー文学として読めます。きっと著者と同じ思いの若者は全国にたくさんいると思います。かけがえのない一回きりの人生を、充実して生きたいと思っている人に勇気を与える本です。
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もう何と言うか、別世界を生きている人間です。彼の発する言葉は文学とは無縁です。人間が言葉を持ったのは、言葉にしがたいものを言葉にしようとするためです。政治家が発する言葉の軽さと言ったらありません。それだけ現実も軽いものになったということでしょう。
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人間は、条件次第で、喜々として殺人を犯す。そして、その条件を整備しつつあるのが、安倍政権とその背後でうごめく『日本会議』である。このことに気づいていても、「配慮する」ことを最優先して報道しないメディア(特にNHK・読売新聞・産経新聞)。そしてそこに寄生する学者やコメンテーター、芸能人。このドキュメンタリー映画は、彼らの自画像である。たまには、自らの顔をじっくり眺めてみるがよい。
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私が長年考えてきた問題を解明するヒントになりました。ブログで書いたように、まず感情を基にした結論があって、それを正当化するために人は「知性」を動員するという、ごく当たり前のことが書かれている。つまり、知の粉飾決算報告書である。
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食う寝る遊ぶ 小屋暮らし (JUGEMレビュー »)
中村 好文
中村さんの著作の中では、個人的に最も好きな本です。読んでいるだけで楽しくなります。限りなく優しい、でも、痛烈な文明批評です。これからの生き方のヒントが満載です。それを一人でも多くの人と分かち合いたいと思い、中村好文論・その3の中で引用させていただきました。
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暮らしを旅する
暮らしを旅する (JUGEMレビュー »)
中村 好文
以下は私がアマゾンのレビューに投稿したものです。再録します。
「もし人に幸福な生き方があるとしたら、中村好文さんのような生き方だろうと、ずっと思ってきました。
建築雑誌をパラパラとめくりながら、ふむ、と思って手が止まると、そこには必ずと言っていいほど中村さんの設計した住宅がありました。
文は人なりと言いますが、その人の書く文章のエッセンスがこれほど見事に建築にも表現されている例はめったにありません。
建築に限らず、食の分野でも、ことばと実物の乖離がはなはだしい時代に、中村さんの設計した住宅や美術館に出会うと、どこか安心するのですね。
そういうわけで、著者の本はすべて読ませてもらっています。
この本も偶然、年末に本屋さんで手に入れ、装丁やカバーの手触りを楽しみながら読んでいます。
読みながらいつの間にかほのぼのとしている自分を発見します。
一日に一編か二編を過去の記憶をたどるようにして読んでいます。
この本の平明さ、やさしさがどこから来るのか。そんなことを分析するのは野暮というものです。
とにかくこの素敵な小さな本は、旅のお供にどうぞ!とすすめたくなります。」
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高校生のための英文法−その7
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    ずっと気になっていた問題(高校生のための英文法−その6)の解説をします。同時に英語の勉強方法についても少し話します。まず、問題です。

     

     

    第1問

    下線部の中で誤っている箇所を指摘しなさい。

     

     

    About 72% of India (1)being rurally based, villages of India (2)have always been said (3)that they represent the true essence and flavor of India (4)through their arts, culture, folk music, local dances, fairs and festivals.

     

     

    まず、訳してみます。その際注意するのはS+V感覚でしたね。

     

    英語はS+Vのセットが左から右へと流れるようにつながっているのですが、原則として、二つ以上の文(S+Vセット)があれば、接続詞でつなぎます。つまり、カンマで文(S+Vのセット)はつなげないということです。

     

     

     

    ところが上の文は About 72% of India (1)being rurally based, ではじまり、villages of India〜と続きます。カンマで文(S+Vのセット)はつなげないというのが英語の大原則ですから、もともとはAbout 72% of India is rurally based.という文の動詞 is を(1)beingにして(これを分詞構文と言います)、カンマでつなげるようにしたわけです。よって(1)は正しい。もともとは文だったという説明も少し苦しい説明ですが…。慣れてくれば一瞬で分かるようになります。

     

     

     

    以下は塾の高校生の訳です。

     

    <訳>インドの72%は田舎であり、インドの農村はその芸術、文化、民俗音楽、地域ごとの踊り、市や祭りを通じてインドの本質、味わいを体現していると言われてきた。

     

     

     

    少し日本語がぎこちないのですが、よくできています。ところが、この英文のどこが間違っているのかという段になると、分からないと言います。つまり、読んで訳をすることはできるのです。しかし、この英文は間違っています。「英語として間違っている文を読んで訳せる」というのが、わが国の英語学習の到達点なのです。

     

     

     

    みなさんは間違った日本語を読めば、すぐにわかるでしょう。あるいは、美味しいものを食べた時、相手が「チョー、ヤベ〜」と言えば、それが「めちゃくちゃ、うめ〜」という意味だとわかりますね。どちらも、チョー下品な言い方ですが。

     

     

    私たちの頭の中にインプットされている母語の体系が、本来ならマイナスの意味を持つ「チョー、ヤベ〜」を、状況や文脈によって、瞬間的にプラスの意味として受け取るのです。母語以外の言語では、すなわち後天的に学習によって身につけた言語ではこうはいきません。前にも言いましたが、真に独創的な思考は母語でなければできないのです。

     

     

     

    要するに、母語と外国語の間には決定的な断絶があるということです。前回書いた英語の4技能を学校教育によって身につけさせるもくろみが、どんなに大それたことか分かると思います。東京オリンピックまでに英語熱を高めて、道案内くらいはできるように、というのがせいぜいのところでしょう。

     

     

     

    かなりのリソースを割いて英語を学習するなら、せめて上記の英文を読んで間違いが感覚的に分かるレベルをめざすべきです。私が塾でよく言うフレーズに「書いて間違いは、言っても間違い。言って間違いは、書いても間違い。」があります。

     

     

     

    英語を機械的に日本語に言い換えたり、空所に適語を補ったり、語句を並べ変えたりすることは英語の勉強ではありません。それは英語に名を借りた記憶力と少しばかりの思考力をためすテストに過ぎません。何より、そんなレベルの英語力では、英米のすぐれた小説を読んでもちっとも面白くないでしょう。受験が終われば、ゲームオーバーというわけです。

     

     

     

    話が脱線しました。villages of India (2)have always been said (3)that they represent the true essence and flavor of India の部分に間違いがあります。正しい英文をひたすら音読していれば、間違いに気づくはずです。そんな時間はない、というなら、せめて解説を聞いた後、数十回は音読して下さい。

     

     

     

    villages of India have always been saidとくれば、後は that S+Vではなく to 不定詞が続くのが英語です。つまり、正しくは villages of India have always been said to represent the true essence 〜と続くのです。

    これを、「繰り上げ構文」と言います。具体例を挙げます。

     

    It is said that he is honest.

     

    は正しい文です。これを繰り上げ構文にします。

     

    He is said to be honest.

     

    となります。これは正しい。しかし、

     

    He is said that he is honest.

     

    は間違いです。that 節の中の he が繰り上がっていませんからね。よって、villages of India have always been said that they represent も間違いなのです。もう分りましたね。念のためにもう一つ例を挙げておきましょう。

     

     

    It seems that he is honest.という文は、that 節の中の he を文頭に繰り上げて、

     

    He seems to be honest.と書くことができます。しかし、

     

    He seems that he is honest.とは言いません。

     

     

    さらにもう一つ。

     

    It is likely that he will pass the exam. は

     

    He is likely to pass the exam.と書き換えられます。でも、

     

    He is likely that he will pass the exam. は間違いです。

     

     

    分かってもらえたでしょうか。問2の解説はまた近いうちにします。受動態はとても大事な箇所です。

     

     

     

    外国語を学べば、世界には様々な見方や考え方があることに気づきます。母語に制約された精神を拡張し、偏見から自由になることもできます。しかし、私たちが学ぶ英語は受験で高得点をとるためのものです。精神は委縮し、偏見は高じるばかりです。もうそろそろ、That's enough!(うんざりだ!)と叫びませんか。

     

    | 高校生のための英文法 | 14:02 | comments(0) | - |
    高校生のための英文法−その6
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      さっそく始めましょう。以下の問題は高3のクラスで、数ヶ月前にやったものです。もしあなたがこの問題をスラスラ解くことができれば、文法に関しては自信を持っていいと思います。難問ではありません。基本的な問題ですが、普段から体系的な勉強をしていなければ混乱するかもしれません。ということで、以下の2問には関連性があります。

       

       

      その前に一言。勉強は問題をランダムに解くだけでは実力はつきません。問題相互の間に関連性・体系性を見出せてこそ、勉強は面白くなるし、実力もつくのです。だから僕は学校の進度に沿って出される課題を解く手伝いはしません。あくまで授業にこだわりたいと思います。

       

       

      僕にはこれだけは教えておきたいという体系があるのです。ですから、あくまで、僕自身が考えたカリキュラムに沿って独自の授業をこなしていきます。その中で生徒の弱点を発見し、軌道修正もします。生徒に寄り添った個別指導的な授業では実力などつくはずもありません。それではいつまで経っても、依存的な心理から抜け出せません。自立せよ、高校生!

       

       

      第1問

      下線部の中で誤っている箇所を指摘しなさい。

       

      About 72% of India (1)being rurally based, villages of India (2)have always been said (3)that they represent the true essence and flavor of India (4)through their arts, culture, folk music, local dances, fairs and festivals.

       

      第2問

      下線部の中で誤っている箇所を指摘しなさい。

       

      His proposal of marriage does not seem (1)to have taken seriously, (2)for she is behaving as if she (3)hadn’t heard anything, but he seems (4)to have taken it as approval.

       

       

      どうですか。この2問の間に共通の構造が見えましたか。僕は以前次のように書きました。

       

       

      「英語に限らず、外国語を学ぶということは、夜空に散乱する無数の星のあいだのどこに切れ目を入れて、どの星とどの星を結べばよいのか、そのルールが分かるということです。「分かる」は「分ける」ことからスタートするのです。

      そして、ある切れ目を入れて星をつないだ人には、はっきりとものの形が見えます。二人並んで星座を見ているときに、見える人にはありありと見える星座が、切れ目を入れることができない人には全く見えないのです。」と。

       

       

      『高校生のための英文読解−4・東大の問題解説続き』

      http://oitamiraijuku.jugem.jp/?cid=28

       

       

      今回は文法の問題ですから、構造というより文法的な類似性と言った方がいいでしょう。解説は次回します。それまでじっくり考えて置いて下さい。

       

       

      政治の話ではなくて、できれば今回のように具体的な勉強の仕方を教える中で、生徒の皆さんに語りかけたいものですね。大切なのは日常です。ありふれた日々をどれだけ深く生きることができるか。人生の幸、不幸はそこにかかっている気がします。空気読むより、本読もう!

       

      | 高校生のための英文法 | 17:50 | comments(0) | - |
      高校生のための英文法−その5 ・ いわゆる分詞構文について
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        前回の解説です。以下のアンダーラインのどれが間違っているかという問題でした。

         

         

        (1)Until recently, the earliest evidence for domestic dogs was (2)from Europe, the Middle East, and Southeast Asia, the upper time limit (3) was (4)no more than 14,000 years ago.

         

         

        間違いは(4)の no more than だと言われれば、高校生の反応は「ああ、やっぱりね。no more than とか no less than とか not more than,  not less than とか出てくると、わけがわからなくなる。いったいどうやって区別すればいいんだろう。暗記するしかないの?暗記してもすぐ忘れるし・・・」という感想を持つ人が多いのではないでしょうか。

         

        no more than 

        no less than 

        not more than 

        not less than

        no better than 

        not so much A as B

         

        など、など・・・

         

        「否定+比較」がからんだ文は苦手だ、そもそも Nothing is more precious than time. は「否定+比較」で最上級になる(時間ほど貴重なものはない。時間が一番貴重だ)と習ったし、no more than、no less than などとの関連はどうなっているのだろう?と思っている人も多いでしょうね。でも、こういった疑問をもっている人はかなりいい線を行っています。

         

         

        実は「否定+比較」は大学受験の中でも最重要ポイントです。ここがすっきり分かれば高校生の皆さんも英語に自信が持てるはずです。しかし、それはまた後日。今回は正誤問題の解説です。実は(4)の no more than は間違っていません。(3)was が間違っています。なぜか?

         

         

        ここで確認しておくべき重要な英語の原則があります。それは「カンマで文はつなげない」という原則です。これは塾を始めたころから30年以上言い続けているのですが、初めて聞いたという高校生がほとんどです。

         

         

        上の問題をよく見て下さい。二つの文

         

        (1)Until recently, the earliest evidence for domestic dogs was (2)from Europe, the Middle East, and Southeast Asia,

         

        と、

         

        the upper time limit (3) was (4)no more than 14,000 years ago.

         

        という二つの文が the upper time limit の前のカンマでつながれています。これはルール違反です。もちろん、カンマで文がつながれているケースもありますが、それは例外的なケースです。無視してもかまいません。あくまで「カンマで文はつなげない」という原則をしっかり頭に入れて下さい。

         

         

        この原則に照らすと、この英文は間違っていることになりますね。つまり、二つの文をつなぐには接続詞が必要なのにカンマで文をつないでいるのですから。そもそも、二つの文があるということは、それぞれに S + V があるということです。この V を述語動詞といいます。文が二つあれば述語動詞も二つあります。これを「一文一主語一述語動詞」の原則と言います。

         

         

        上の場合、どちらも was  が述語動詞です。そこで、どちらかの述語動詞を 〜ing 形にしてこの文が原則破りの文であることを示したのが分詞構文です。もちろんそのことによって、二つの文はより緊密につながり、簡潔になります。場面の切り替えが紙芝居から映画になったのだと想像して下さい。

         

         

        したがって、分詞構文が使われている英文を、接続詞を用いて書き換えるなどという練習には意味がありません。接続詞を用いて書き換えても、イコールにはならないからです。接続詞を使う必要がないから省いているのです。そういう文体の問題なのです。

         

         

        高校生だった頃、分詞構文には次のような意味があると教えられ、接続詞を用いて書き換える練習をやらされました。

         

        1:時( when, while, as soon as・・・)

        2:理由・原因( as, since, because・・・)

        3:条件・仮定( if・・・)

        4:譲歩( though, although, even if ・・・)

        5:付帯状況・結果(・・・ and ・・・)

         

         

        しかし、こういった分類が生きた現代文を読むのに有効だとは思われません。分詞構文が出てくるたびに「1〜5のどれかな?」などと考えるのは全くの無駄です。ちなみに今でもこういった教え方をしている塾や予備校、高校があります。結論から言えば、5だけで十分です。本来1〜5の区別は明瞭ではありません。それより、書いてある通りに左から右へと読み流すのが最も自然な態度です。

         

         

        Returning to London, he found that ・・・

        Returning from Beijing, he found that ・・・

         

         

        こういった文を When he returned to (from)・・・などと書き変えてもほとんど意味はありません。「ロンドンへ帰ってみると・・・」「北京から戻ると・・・」と読めれば十分です。「時を表す分詞構文」だと説明するのは、あまりに大げさです。

        さらに、

         

        Conservatives, having said that・・・, now claim・・・

         

        は、「保守派は・・・と言っていたが、今になって・・・と主張している」と書かれている通りに読み下せばいいだけのことです。従来、受験英文法が説明してきたように「言っていたけれども」「言っていたにもかかわらず」と訳さなければならない、なぜなら、これは「譲歩の分詞構文」だからだ、と難しい文法用語を使って決めつけるのでは本末転倒です。

         

         

        さて、今回はここまでで終わりにします。本問に戻りますが、(3)was を being にするのが正解です。理由はもう分りましたね。the upper time limit は being の意味上の主語ということになります。いずれにせよ、分詞構文が現代英語のみならず、小説でもいかに多用されているかを知れば、分詞構文に精通することなくして英語は読みこなせないと断言しておきます。分詞構文についてはまた改めて説明します。とくに S'+ V の構造を作る Nexus は非常に重要です。

         

        最後に本問の訳をしておきます。

         

        「最近まで、家でイヌを飼っていた最も古い痕跡は、ヨーロッパ、中東、東南アジアからのもので、その上限はせいぜいのところ14,000年前であった」

         

         

        | 高校生のための英文法 | 17:05 | comments(0) | - |
        高校生のための英文法−その4
        0

          英語を勉強していてよかったなと思う瞬間は、何といっても外国の作家の作品を読んだ時です。もちろん優れた翻訳も出ていますが、ペーパーバックを取り寄せて夢中になって読んでいるときの感覚は、日本語の世界から解放され、新たな世界を垣間見せてくれるという点で、何物にも代えがたいものです。村上春樹氏が翻訳を精神のバランサーにしているのがよくわかります。

           

           

          ところで、今の学校英語は、中学生の場合特にその精神年齢にそぐわないスカスカの、政治的に中立を装った、どーでもいい貧困なトピックのオンパレードです。これでは英語学習の動機が、最初の段階から萎えてしまいます。

           

           

          それでなくとも部活で体力を使い果たし、クラスでは人間関係に気を使いながら一日の大部分を過ごしているのですから、慢性的な疲労と睡眠不足で勉強に集中できないのも無理はありません。ましてや、外国語である英語学習に落ち着いて取り組める訳がありません。

           

           

          では高校英語はどうか。これはもう大学受験英語に収斂してしまった感があります。クラスから最低3人の代表を選んで英語の弁論大会を開催したり、エッセイを書いて発表したり、あるいは卒業するまでに100ページ余りの短編小説を英語で書くといった取り組みはどうでしょう。英語の歌30曲を完璧に歌いこなすというのもいいですね。リスニングの勉強になるのは言うまでもありません。

           

           

          そもそも外国語学習がなぜ英語なのか、その疑問に答えた本を英語で読むというのもいいですね。Recommend 欄で紹介した『英語化は愚民化』を読むことから始めてはいかがでしょうか。いずれにせよ、外国語学習の最終目的は、その言語で書かれた最高の作家の文章を読むことに設定すべきです。若者に最高の知性を身につけてもらいたいと願っていればの話ですが。

           

           

          そんなことは今の中高生の学力を考えたらとても無理だという意見もあるでしょう。しかし、それこそ chicken‐and‐egg problem です。中身スカスカのテキストを与えるから、それにふさわしい自我が形成されるのです。ヤドカリが貝殻に自分の身の丈を合わせるように。

           

           

          さて今回の問題です。短いのでぜひ取り組んで下さい。例によって間違いが1つあります。それはどこでしょう。今回からはヒントとしてアンダーラインを引いておきます。(1)〜(4)の中に間違いがあります。その理由も含めて答えられるようにして下さい。上野丘や舞鶴高校に通って受験英語に取り組んでいる人なら、即座に分かるでしょう。

           

           

          (1)Until recently, the earliest evidence for domestic dogs was (2)from Europe, the Middle East, and Southeast Asia, the upper time limit (3) was (4)no more than 14,000 years ago.

           

           

          例によって精神浄化のための懐かしい歌をアップしておきます。古すぎるですって?名曲に古いも新しいもありません。すべてのものは古くなるのです。工夫によっていつまでも若々しく保つことができるのは、あなたの精神だけです。

           

           

           

           

          | 高校生のための英文法 | 14:13 | comments(0) | - |
          高校生のための英文法−その3
          0

            高校生の皆さん、こんにちは。

             

            前回の続きです。残っていた重要部分の解説をします。英文は以下に挙げておきます。

             

            Creating curricula that help children do what they feel like is necessary in their lives while still teaching them how to reason and communicate and do mathematics that is needed in their lives are important.

             

            もう2〜30回は音読したでしょうか。短文なので覚えてしまったことでしょう。間違いの箇所は2か所でした。likeは不要、are is に訂正します。小石のような単語ですが、発音したとき違和感がありましたか。そうなるまで読み込むことが何より大事です。

             

             

            今回は that help children do の後ろの what they feel like is necessary in their lives like がなぜ不要なのか解説します。

             

             

            基礎の基礎から説明してみましょう。まず次の文を見て下さい。

             

            1.What color do you like?

            2.What did it look like?

             

            この二つの文の like の違いはわかりますね。1は動詞、2は前置詞です。「働きが違えば意味も違う!」でしたね。1は「何色が好き(何色好むか)」2は「それはどんなものだったの(どんなふうに見えた、何似ていた)」という意味です。2は友達が「昨夜、UFOを見たよ!」と言った時のあなたのセリフです。

             

             

            では、この2文の共通点は何でしょうか。2つの like がともに目的語を取るということです。1の like は他動詞で what color を、2の like は前置詞で what を目的語にとります。目的語ですからそれぞれに「を」「に」を付けます。2は It looked like a cigar.(葉巻みたいだったよ)のように答えます。日本語では「何色好き?」と言いますが、これは「〜を好き?」というのが不自然に聞こえるという日本語の都合です。英語の発想では、「何色好むか?」になります。

             

             

            つまり、目的語は「他動詞の目的語」か「前置詞の目的語」を意味します。しつこいようですが、1の what color  は「他動詞の目的語」、2の what は「前置詞の目的語」になっているということです。

             

             

            他動詞とか前置詞とか目的語とか聞いただけで頭が痛くなる人は、英語の上達は望めません。一生、ブロークンイングリッシュで旅行や買い物を楽しんで下さい。そういう人には、「聞き流すだけで英語が話せるようになる」教材が準備されています。それに、ブログでも紹介しましたが、人工知能による携帯自動翻訳機がスタンバイしています。

             

             

            さて、以上のことを押さえて、do what they feel like is necessary in their lives の中の like の働きを考えてみましょう。feel が動詞なので like は動詞ではなく前置詞です。では「前置詞の目的語」はどれでしょうか。 whatでしょうか。その可能性もありますね。

             

             

            しかし、その場合は、What do they feel like?「やつらは何を飲みたがっているんだ?」の意味になります。 They feel like wine.「ワインを飲みたがっているのさ」というような答えになりますね。文脈から考えてこれはありません。「子供たちが人生において飲みたいと思っているものをすることが必要だ」などと、わけのわからない訳を考えてパニックになるのが落ちでしょう。

             

             

            要するに、like には目的語がないのです。だから like は削除するしかありません。

             

             

            では、like を削除した後の、do what they feel is necessary in their lives はどんな意味になるのでしょうか。頭が痛くなってきたですって?ここは大学入試英語の重要ポイントです。なるべく簡単に説明します。

             

             

            君は自分が正しいと思うことをやれ」を英語で言うとどうなるでしょうか。

             

            1.Do what you think is right.ですね。

             

            これは You think (that) X is right.「君はXが正しいと考えている」という文中のXを先行詞を含んだ関係代名詞 whatにして文頭に出し、残りを修飾構造にしたものです。こうして what you think is right. というカタマリが出来上がります。つまり「君はXが正しいと考えている」を「君が正しいと考えていること」という抽象的な言い回しにしたのです。

             

            でもこれは英語ではふつうのことです。I bought the CD at the shop.「ぼくはその店でCDを買った」が the CD I bought at the shop.「ぼくがその店で買ったCD」になるのと同じ理屈です。

             

            難しいですか? よく考えて下さい。

            一つ練習してみましょう。

             

            僕が起こると考えていたことが本当に起こった」を英語にしましょう。

             

            2.What I thought would happen really did.

             

            となります。もちろん最後の did happened の代動詞です。

             

            ここで注意しておくことがあります。whatには2つの「働き」があります。「外の働き」と「内の働き」です。

             

            1.「外の働き」とは名詞のカタマリを作ることです。すなわち文中で主語、目的語、補語になる。

            2.「内の働き」とは what を含むカタマリの内部で主語、目的語、補語のどれかの「働き」をする。

             

            上記1の例文を見て下さい。

             

            Do what you think is right.

             

            この what は名詞のカタマリを作って Do の目的語になっています。つまり、「君が正しいと思うことせよ」になる。同時に内部では is の主語になっています。したがってこの what は主格です。

             

            上記2の例文を見て下さい。

             

            What I thought would happen really did.

             

             

            what は名詞のカタマリを作って did の主語になっています。つまり、「僕が起こると考えていたこと起こった」になる。同時に内部では would happen の主語になっています。したがってこの what は主格です。

             

            ふう〜、ややこしいですね。疲れましたか。では最後に

            help children do what they feel is necessary in their lives

            に戻りましょう。

             

             

            下線部が今までと違って見えていることでしょう。この what do の目的語になる名詞のカタマリを作っています。「外の働き」ですね。「内の働き」は is necessary  の主語になっています。『子供たちが人生で必要だと考えていることする』になる理屈がわかったでしょう。

             

            help children do what (they feel) is necessary in their lives のように they feel を括弧でくくるとわかりやすくなります。

             

             

            全文訳をしておきましょう。

             

            「論理的に考えたり、コミュニケーションをしたり、人生で必要な計算をしたりすること教える一方で、子供たち人生で必要だと思うことするの手助けするようなカリキュラムを作ること大切だ」となります。

             

             

            なぜ、「論理的に考えたり、コミュニケーションをしたり、」から訳が始まるのか、わけ分からん、と思っている人もいるでしょうね。僕もそう思います。この日本語訳は「て」「に」「を」「は」によって、かろうじて英語を日本語の論理に変換しているからです。

             

             

            ちなみに、上の全文訳の「て」「に」「を」「は」を変えてみましょう。

             

             

            「論理的に考えたり、コミュニケーションをしたり、人生で必要な計算をしたりすること教える一方で、子供たち人生で必要だと思うことするの手助けするようなカリキュラムを作ること大切だ」

             

             

            どうでしょう。この日本語を英語にすることができるでしょうか。無理ですね。皆さんはこのことから何を学んだでしょうか。長くなったので今日はここまでにします。

             

             

            | 高校生のための英文法 | 22:20 | comments(0) | - |
            高校生のための英文法−その2
            0

              高校生の皆さん、こんにちは。

               

              「大学入試英文法−その1」の解説です。以下が前回の問題でした。読みながらどこに違和感があるか、その箇所を探す問題です。探すというのは、多少知的な作業ですね。でも僕が「違和感」という言葉を使うのは、学習した様々な文法のルールは「感覚的」「身体的」「無意識的」なものにならなければ、使いものにならないと言いたいからです。

               

               

              Creating curricula that help children do what they feel like is necessary in their lives while still teaching them how to reason and communicate and do mathematics that is needed in their lives are important.

               

               

              まず、Creating curricula that help children do までを視野に入れます。最低でも Creating curricula that help までは視野に入れてください。 Creating curricula だけにアイスパン(視野の幅)を固定すると、Creating が動名詞なのか、現在分詞なのか、はたまた分詞構文なのか迷うからです。

               

               

              それでは先に進めませんし、なにより英文を読むスピードが鈍ります。ある程度の早さで読まなければ内容が理解できないのが英語の特徴です。小説を読む場合でも同じです。

               

               

              英文法力とは、読みながら英文をなるべく大きなカタマリに区切って読める力のことです。したがって、Creating curricula という2単語だけを見つめる人は文法力がないと言われても仕方がありません。これはリスニング力とも関係があるのですが、それはまたいつか。

               

               

              Creating curricula that help children do までが視野に入っていれば、that 以下は Creating curricula の説明ではなく、curricula の説明だと分かります。

              curricula curriculum の複数形でしたね。だから関係代名詞 that の直後の help s がついていません。help は複数の curricula を受けているからです。

               

               

              そんなことを考えなければ英語は読めないのかですって?読めません。当然です。読めると思っているのなら、あなたはまだこの英文を読むレベルに達していません。いますぐ文法の基礎からやり直さなければなりません。

               

               

              続けましょう。Creating curricula(カリキュラムを作ること)がこの文のテーマ(主語)で、that 以下はCreating curricula の説明ではなく、curricula の説明だというところまででした。

               

               

              ここで高校生の多くに共通する弱点があります。それは that 以下の説明(後置の修飾部分)を読み始めた途端に、Creating curricula を受ける述語動詞はどれかという意識が薄れることです。この問題はまさにそこを尋ねているのです。この英文はある難関大学の問題です。どんな力が試されているのかわかりますね。

               

               

              僕が授業で繰り返し言っていることは、英語はつまるところ「S+V感覚」だということです。文法上のS+Vでなくとも、意味上のS+Vがいたるところに隠れているのです。これを NEXUS と言います。この「感覚」を強く持つこと。そのためにはどうすればいいのか、それを説明しましょう。

               

               

              その前に、結論を早く知りたがっている人もいるでしょうから、答えを先に言っておきましょう。この文を読んで最大の「違和感」を持つべきところは、最後から2番目の単語 are です。これは is でなければなりません。なぜなら、Creating curricula という動名詞が is の主語だからです。この「S+V感覚」を狂わせるものこそが、SとVの間に挿入される修飾語なのです。もちろんその中には情報として重要なものが含まれていることは言うまでもありません。

               

               

              最初にもどります。that help children do のところです。実はここに「英文法の基礎」が春先のタケノコのように、あるいは氷山の一角のように顔を出しています。that は(関係)代名詞ですから curricula を代入します。すると curricula help children do という英文ができますね。

               

               

              ここは次のように意味を取らなければなりません。

               

              curricula「は」help する、

              children「が」do すること「を」と。

               

              do の後ろには what they feel(×like is necessary in their lives という名詞のカタマリが来ています。

              したがって、このカタマリ全体が目的語になるので「を」をつけます。

               

              もちろん、このカタマリが what を先頭に名詞の「働き」をしていることが分からなければなりません。前回、文法力とは文中での語またはカタマリの「働き」を理解することだと言いました。

               

               

              さて、忘れてならないのは、Creating curricula を受ける述語動詞はいつ出てくるのか、ということでした。次を見ると接続詞 while で文が続いている。おそらくこの文の後に述語動詞が出てくるのだろうと予測します。次を見ると are important とある。これが Creating curricula を受ける述語動詞なのです。でも動名詞は単数扱いのはずです。したがって、are is に訂正しなければなりません。

               

               

              ここまでを、語順に沿って日本語にしてみましょう。while が導くカタマリは省略します。

               

               

              カリキュラムを作ること「は」

              (それはどんなカリキュラムかというと)、

              それ「は」手助けするのだ、

              子供たち「が」、

              人生で必要だと思うことをすること「を」、

              (だからそういったカリキュラムを作ること「が」、)

              重要なんだ。

               

               

              となります。分かりやすい日本語にすると次のようになります。

               

              子供たち「が」人生で必要だと思うことをするの「を」手助けするようなカリキュラム「を」作ること「が」重要だ。

               

               

              このように日本語では、カリキュラムを修飾する部分がすべて前に置かれています。この日本語の「連体修飾の構造」が英語のどのような表現形式に対応するのかという体系的な知識を身につけることは超重要です。

               

               

              同時にというか、さらに大事なことがあります。英語では名詞(文中で主語・目的語・補語になる)が格を持つということです。簡単に言うと、必ず、名詞または名詞のカタマリに「て」「に」「を」「は」がつくということです。英文を読みながら、瞬間的に僕たちはこの作業を行っています。そうでなければ、日本人には英語が理解できないのです。

               

               

              ちなみに、上の日本語訳の「て」「に」「を」「は」を変えてみましょう。

               

               

              子供たち「に」人生で必要だと思うことをするの「が」手助けするようなカリキュラム「は」作ること「を」重要だ。

               

               

              どうです。瞬時に意味がわかりましたか。無理ですね。この文には説明しなければならない重要な箇所がまだたくさん残っています。説明は次回以降に譲ります。分かりにくい解説をここまで読んでくれてありがとう。

               

              | 高校生のための英文法 | 17:15 | comments(0) | - |
              高校生のための英文法−その1
              0

                英文法を使いこなすことは、並べ替え問題や穴埋め問題を解くためのテクニックを身につけることを意味しません。第二言語として英語を学ぶには、英文法は最大にして最終的な武器になります。大学受験生や高校生なら、1年間はみっちり英文法を勉強すべきです。

                 

                 

                問題は勉強の仕方です。

                英文を正確に読解するためには、語の意味だけではなく、その文中での働きを確定しなければなりません。もちろん、語の意味と働きを確定するのは同時進行しています。正確に言えば、語の働きを確定することが意味を決めることより意識の上で少しだけ先行しています。しかし、時間にすればほぼ同時ですね。

                 

                 

                塾で使用している自作の教材『英文法の核心1』から具体例を引いてみましょう。

                 

                 

                1:He has thrown so much interesting light upon the subject.

                2:It’s beginning to get light outside.

                3:The thief forced the safe open.

                4:You are safe in believing that the news is true.

                 

                 

                下線部の単語の意味は、働き(名詞か形容詞か)で意味が異なります。これは高校一年生レベルの英文法の初歩の初歩です。1〜4の英文を読んだ瞬間に意味が確定できなければ、英文法の勉強を最初からやり直さなければなりません。

                 

                 

                人生の中で最もがむしゃらに英文法を勉強したのは高校生の時だったと後になって振り返ることができるといいですね。そんなチャンスはおそらく二度と訪れないでしょう。したがって、到達目標は高く掲げるべきです。

                 

                 

                以下の問題は、塾では高校2年生の後半にやります。毎年この種の問題に100問挑戦します。大学入試がどのように変わろうと、本物の英文法の力さえつけていれば大丈夫です。

                 

                 

                余談はこれくらいにして、本題に入りましょう。以下の英文を何度も音読して、どこが間違っているか考えるのですが、次のような場面を想像しながら挑戦してみてください。

                 

                 

                ご飯を食べているとき、白米の中に小さな石が入っているのに気付かず、強く噛んでしまいます。ガリッという音がして、違和感を感じます。歯が欠けている可能性もあります。いやな場面ですね。そのまま噛み続ける人はいないでしょう。

                 

                 

                以下の英文のどこに小さな石が入っているのか、それを感覚的に探し出してもらいたいのです。小石が入っているのにそれに気づかないのはまずいですね。きっと御飯もまずいでしょう。「感覚的に」と言いましたが、これこそが重要です。

                 

                 

                もっとも、違和感があるのは英文法の体系がある程度身についている人でしょう。高校2年生の段階で、違和感がある人はかなりの実力者です。まともな勉強をしてきたに違いありません。

                 

                 

                さあ挑戦です。自作の教材『考える英文法100選』の中の1文です。少なくとも10回以上は読んで下さい。ガリッと違和感のある小石はどこにありますか。その語を探して下さい。長くなるので解説は次回以降のブログでします。

                 

                Creating curricula that help children do what they feel like is necessary in their lives while still teaching them how to reason and communicate and do mathematics that is needed in their lives are important.

                 

                ※ ヒント:小石は二つ含まれています。一つはlikeですね。もう一つは何でしょう?

                 

                | 高校生のための英文法 | 16:26 | comments(0) | - |
                高校英語・仮定法について
                0

                  前回のブログで、エドガー・アラン・ポーについて書きました。それというのも高校2年生の英語の授業で、仮定法の本質を理解してもらうために、彼の小説の一部をとりあげたからです。

                   

                   

                  ところで、どういうわけか、「仮定法ならまかせてください。僕の得意分野です。仮定法は公式に当てはめるだけですから、公式さえ覚えておけば満点が取れます。仮定法だけは絶対自信があります。」という生徒さんがいます。

                   

                   

                  受験英語の世界では、仮定法は公式に当てはめるだけで解ける、というのが相場のようです。確かに穴埋め問題を解く場合には、それも一理ありますね。

                   

                   

                   

                  私はそういう生徒に質問します。

                   

                  私「仮定法は英語ではどういうか知っていますか。subjunctive mood と言います。ところでこのmood というのはどういう意味ですか?」

                   

                   

                  生徒「えっ?」

                   

                   

                  私「英英辞典でmood を調べると、the way you are feeling at a particular time と定義されています。つまり、話者がことばを発しようとしている、あるいは発している時点での感情を意味するのです。」

                   

                   

                  生徒「そんな難しいことを知らないといけないんですか?」

                   

                   

                  私「一応英語の勉強をしているので、辞書を引くことから始めているんです。難しいかもしれませんが、とても大事なことです。仮定法の<法>について知っておくことは、英語全体を理解する上で、いや、これから先の勉強で役に立ちます。ところで仮定法の反対は何ですか」

                   

                   

                  生徒「直説法です」

                   

                   

                  私「そうですね。<法>には直説法、命令法、仮定法とありますが、この区別はついていますか。直説法とは感情を直接的に表現するときに、命令法は感情を命令的に表現するときに、仮定法は感情を間接的・婉曲的に表現するときに用いるのです。この感情を、というところを忘れないでください。mood の定義にfeeling が入っているのはそういうわけです」

                   

                   

                  生徒「先生、感情がそんなに大事なのですか?」

                   

                   

                  私「いい質問ですね。大事です。例えば、A restaurant is around the corner.という文があります。これはどういう意味ですか。」

                   

                   

                  生徒「角を曲がったところにレストランがあります、という意味です。」

                   

                   

                  私「それは意味ですか?それとも英語を日本語に置き換えて訳したのですか?」

                   

                   

                  生徒「えっ?」

                   

                   

                  私「質問を変えましょう。およそことばである以上、誰が、どういう状況で、誰に向けて話しているのかを考えないといけませんね。この英文の話者は誰ですか?」

                   

                   

                  生徒「う〜ん」

                   

                   

                  私「君の訳は正しいのです。一応。でもこの文には感情がありませんね。つまり、ロボットが話しているような感じがするでしょう。だから誰もこの文の内容に関心を持ちません。この文には感情がないから意味不明なのです。意味とは感情のことです。ただ日本語に置き換えただけの<訳>と<意味>の違いがわかりましたか」

                   

                   

                  生徒「う〜ん」

                   

                   

                  私「このことと仮定法と何の関係があるのかと思っているのでしょう。大ありです。最初に言ったように仮定法は感情を間接的に表現するものです。仮定法はsubjunctive と言いますが、このsub‐ というのは<何かを隠しながら>という意味です。では一体何を隠しているのでしょう。もう分ったでしょう。そう、感情を隠しているのですね。ということは、仮定法を理解する最重要ポイントは、この隠されている感情を理解するということになります。仮定法=if 〜だというような公式的な発想では理解できません。まとめると、仮定法とは感情をストレートに表現するのではなく、間接的に、婉曲に感情を相手に伝えるための動詞のかたちだということです」

                   

                   

                  生徒「う〜ん、なんだか分かったような、分からないような」

                   

                   

                  私「これが一度でわかったら大変です。ただ、大学受験に合格することだけではなく、実際に会話の中で仮定法を使えるか、と考えることが大事です。仮定法に自信を持っていたようですが、少し不安になりましたか。確認しておきますね。以下の英文を見て下さい。

                   

                   

                  (1)I would be happy if I had a lot of money.

                       「お金がたくさんあれば幸せなのに」

                   

                   

                  (2)If I knew her address, I would write to her.

                      「住所を知っていたら、彼女に手紙を書くのに」

                   

                   

                  (3)If I were you, I wouldn’t do such a thing.

                      「もし僕がきみだったら、そんなことはしないのに」

                   

                   

                  以上の訳は「英語=日本語」という発想から、ロボットのような<訳>をしてしまったものです。つまり、隠れた感情を読み取れていません。これでは仮定法を学習した意味がありません。英語は日本語とはまったくちがった言語です。私たちがロボットになったのでは、ことばの深さを理解できませんね。

                   

                   

                  (1)〜(3)はそれぞれ次のような意味です。もちろん状況によって違う日本語で表現できます。

                   

                   

                  (1)「お恥ずかしいのですが、実はお金がないのです。」

                   

                  (2)「残念ですが住所がわからないのです」

                   

                  (3)「こんなふうに申し上げると失礼かもしれませんが、およしになった方がよいのではありませんか」

                   

                   

                   

                  最後に仮定法が実際に使われているところを見ておきましょう。私の訳を見て、どうしてこのような訳になるかよく考えて下さい。

                   

                   

                   

                  エドガー・アラン・ポーの得意な短編スリラーの中のセリフ。読者は私を狂人だと思うだろうが、さにあらず、と主人公の独白の形をとっています。私は狂人ではないということを強調するセリフに仮定法が出てきます。

                   

                   

                  1.You should have seen how wisely I proceeded ― with what caution ― with what foresight ― with what dissimulation I went to work!(ここでのworkとは殺人を指します)

                   

                   

                  「私がどんなにかしこく立ち回ったか、どんなに慎重に、どんなに先の先まで読んで、いかに本心を巧みに隠して殺人にとりかかったか、諸君に見せてやりたかった」

                   

                   

                  2.Ha!― would a madman have been so wise as this?

                   

                   

                  「はっ!狂人がここまでかしこく立ち回れると思うかね?」

                   

                   

                  3.So you see he would have been a very profound old man, indeed, to suspect that every night, just at twelve, I looked in upon him while he slept.

                   

                   

                  「いいかね。よほど読みの深い老人でない限りは、毎晩12時きっかりに私が眠っている老人の部屋に忍び込んでいたなどとは疑いもしなかっただろうよ」

                   

                   

                  4.主人公は、老人の死体をバラバラにして、床板を3枚はがし、隠してしまいます。それに続く文。

                   

                   

                  I then replaced the boards so cleverly; so cunningly, that no human eye ― not even his ― could have detected anything wrong.

                   

                   

                  「それから板を巧妙に、抜け目なく元に戻しておいたのだ。だから、人間の目では、あの老人の目をもってしても、何一つ不審な点を感じさせることは、まずありえなかっただろう」

                   

                  もうお分かりでしょう。仮定法に限らず、英語は難しいのです。受験で合格点を取るという目的に絞って教えたり、学んだりしているからこそ、一見すると易しく見えるのです。この国の英語教育は、大学受験があるからこそ、かろうじて成り立っているのです。さて、もうやめにします。英語を味わって読むためには、仮定法はとても重要だと気づいてくれたら、うれしいです。

                   

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