「コミュ力高い」に抗議の沈黙デモ。医学生らが順大前で。
あなたは医師を志し、懸命に勉強しています。そして、親や友人に励まされ、挫けそうになる心と闘いながら入試の日を迎えます。結果は不合格。理由はあなたが「コミュ力高い女子だから」と言われたらどうでしょう。
10日、順天堂大で開かれた記者会見で、新井一学長と代田浩之医学部長は女子受験生を不利に扱った理由を語りました。
いわく「女子の方がコミュニケーション能力が高く、男子を救う必要がある」「18歳の時は女性が高くても、20歳で一緒なら、数年後に高くなる男子学生を救うため」「客観的データに基づいており、差異を補正するものと考えていた」。(朝日新聞デジタル)
要は、男子の受験者は「コミュ力」が低いので不利になる、だから女子の合格ラインを高く設定して、男子に下駄を履かせたというのです。
はあ〜?(最近こればっかりです。)もうめちゃくちゃです。そもそも、判断する人間の主観でどうとでも受け取れる「コミュ力」なるものが、客観的で公正であるべき合否の判断基準になると考える時点で、新井一学長と代田浩之医学部長の頭がピーマンだと分かります。
もっとも、この合否の判断基準を曖昧化することこそが彼らの目的なのですが。曖昧化こそが「大学経営に資する」(自分たちのふところが潤う)というわけです。
しかも取ってつけたように「客観的データに基づいており、差異を補正するものと考えていた」などと、屁理屈を並べます。「差異を補正する」って、要は男子に下駄をはかせるってことですよね。バカであればある程、真実を隠蔽するために小難しい言い回しを使うのです。
この国の大学の劣化はとどまるところを知らない、回復は絶望的に不可能だ、と何度もブログに書いてきました。大学入試の合否が受験者本人の能力ではなく「コミュ力」や性別によって決まっていたのですから、私の言うこともあながち大げさではなかったということです。これこそが「日本版」AO入試の内実です。そして、安倍首相のお友達が総長を務める早稲田大学が先頭に立ってこれを推し進めようとしているのです。
行政の私物化、司法の私物化、税金の私物化つまり国家の私物化を合法化するには、民営化するに限る、というわけです。今に始まったことではありませんが、今回の私立大学の医学部入試の不正操作こそが、民営化の本当の目的を可視化してみせたのです。
私は塾の教師をしているので、受験生の悔しさがわかります。将来を託すべき若者に、こんな理不尽な思いをさせている責任は大人にあるのです。上と横ばかり見て、安倍政権と同一化することで私腹を肥やそうとする大人に。
若者は異議を唱えなければなりません。画像の女子大生のように。「ごまかすな。それはただの性差別だ!」「下駄を脱がせろ!」と叫ぶのです。政治的な意思表明は、あなたが人間として生きるために必要なことです。