前回のブログに、「純愛」主義が国を滅ぼす、というタイトルをつけたのは、稲田朋美防衛大臣の「気味悪さ」を考えていて思いついたものです。もちろんそれは安倍政権の閣僚とそれを支える「日本会議」の面々にも当てはまります。
稲田氏は能力的にも体力的にも、さらには政治家としての適格性の点においても失格ですね。そんな人間が「防衛大臣」を務めているのです。それぞれについて考えてみます。
まず能力の面。
沖縄・高江の自衛隊ヘリ使用問題で自衛隊機を使ったことは自衛隊法6章に違反ではないかと記者に問われても分からず、側近の助けを借りても返答できませんでした。さっそくネトウヨの皆さんが、弁護士でも自衛隊法や国防関係の法律は知らなくても仕方ないだろうと妙な援護射撃をしていましたが、稲田氏は防衛大臣なのです。一介の弁護士とはわけが違います。当然、自衛隊のヘリで重機や建築資材を運ぶ根拠規定を確認していなければなりません。それをせずに命令を出すことは法の支配をないがしろにするものです。日本は一応法治国家です。
次に体力面。
ブログで何度も指摘した南スーダンの訪問を中止したそうです。毎日新聞(2016年9月15日)。
http://mainichi.jp/articles/20160916/k00/00m/030/036000c
訪問のため服用したマラリア予防薬の副作用でアレルギー症状が出たとのことです。現地の自衛隊の皆さんは、この知らせを聞いてさぞかし士気が上がったことでしょう。
しかし、これが中止の本当の理由ではないと思います。政治家としての自分の足元に火がついたので、火消しに躍起となっていて日本を留守にすることができなかったというのが真相ではないでしょうか。
第三に政治家としての適格性の問題。
まず、富山市議顔負けの白紙領収書による公金詐取問題があります。マスメディアやワイドショーでは富山市議会の腐敗ぶりを大々的に報じますが、稲田防衛相のこの問題にはどういうわけか全く触れません。甘利氏の斡旋利得罪ど真ん中の問題を報じないのと同じです。
この件に関してはリテラの次の記事をお読みください。
http://lite-ra.com/2016/09/post-2560.html
次に、毎日新聞の9月16日の記事によると、8月の内閣改造に伴う新任閣僚らの資産公開で、稲田朋美防衛相(衆院福井1区)が、夫名義(夫は弁護士です)で防衛装備品を受注する重工大手3社の株を持っていることが判明。内訳は、▽三菱重工業3000株▽川崎重工業6000株▽IHI8000株。
稲田氏が行政改革担当相を退いた14年9月時点の資産公開で3社の株はなく、それ以降に購入したとみられる。政府は同年4月に新たな防衛装備移転三原則を設け、それまで禁じていた武器輸出を事実上解禁した。稲田氏の事務所は取材に、防衛省トップが夫名義で防衛産業株を保有する是非について「答えられない」、購入の経緯は「配偶者のことなので承知せず、すぐには確認できない」と回答した。
http://mainichi.jp/articles/20160917/k00/00m/010/106000c
軍需産業の株主の妻が防衛大臣。軍需産業が兵器受注でもうかれば、大臣一家が利益を得る。軍事的な緊張が高まることは一家にとって望ましい。「妻名義」「夫名義」等のこどもだましで、職務内容と自己利益が連結する人間が大臣の地位に座り続ける。
この状況は「利益相反(conflict of interest)」として、欧米では大臣辞任の大問題になるところです。でも日本ではそうはなりません。安倍政権の本質が、発展途上国や腐敗国家・独裁国家のそれと変わらないからです。
つまり、自分を支持してくれる人間は権力にものを言わせて守り、重用する。しかしそのグループには入らず、外から批判する者には容赦しない。安倍首相といい稲田防衛大臣といい、国家を食い物にして自己利益の最大化をはかる人間を「保守」とは呼びません。
最後に「防衛大臣」としての適格性についてです。これは稲田氏の「気味悪さ」について論じることになります。それはとりもなおさず、57歳の「純愛」主義者が政治家になり、国防の責任者になっていることの危険性に言及することになります。長くなるので、次回のブログに譲ります。