以下の問題は、集中力を持続させるために中3生に解かせた数学の問題です。8人中4人しかできませんでした。全体像を理解し、この方法で解くしかないと決断し、手順を間違えないようにする力が、すなわち自分を信じる力がまだまだ不足しています。
ところで、毎年この時期になると、受験生は浮足立ってきます。勉強が上滑りになり、じっくり落ち着いて問題に取り組むことができなくなるのですね。受験がリアルな問題として前景化してくると、誰だれはどこの冬期講習会に行っている、などといった情報が飛び交い、ますます落ち着かなくなってきます。無理もありません。日頃から閉ざされた教室の中で他人のことばかり気にして生活しているのですから。
自己宣伝ではありませんが、これまで高校受験での当塾の塾生の合格率は98〜99%です。140人近くが上野丘・舞鶴に合格していますが、毎年5〜6人が合格し続けた結果、集計すればそうなったというだけのことです。地元に密着して30年以上も塾をやっているためか、口コミで地域の優秀な生徒さんが集まってくれるようになったのです。
「驚異的な合格率!」などと宣伝するつもりは全くありません。それを自分で言える神経が私にはわかりません。いや、わかりすぎるほどわかっているのです。しかし、金もうけがしたいだけの単なるバカになることがどうしてもできないのです。
「そういった発想自体が時代遅れなんだよ!宣伝しないでどうして商品を売るんだ?」と批判されるかもしれませんが、「商品」を売っているという意識が私にはないのです。知性を身につけ、矛盾と欺瞞に満ちた社会を他人や組織に操られることなく、何とか生き延びて幸せになってもらいたいという思いで生徒に勉強を教えているのですが、それが「商品を売る」ことだとはどうしても思えないのです。生徒や親御さんを「お客さん」だとも思いません。「買い物以外に、この世の中で大事なことはない」と思い込まされている「お客さん」を相手に、いったいどうやって勉強を教えることができるでしょう。
それどころか「集客」にはかえってマイナスになる内容のブログをこうして書いています。それで、生徒や親御さんとの教育方針のミスマッチを防ごうとしているのです。ある意味「驚異的な合格率!」なる宣伝文句につられて入塾してきそうな「お客さん」にはご遠慮いただいているとも言えます。
どこかの塾長のように、第三者になりすまして自塾を宣伝し、一橋大学出身という学歴をニセの管理人に「足元にも及ばない」と言わせて「集客」することなど思いつきもしません。ネット社会とは表の顔と裏の顔の隔たりが大きい社会のことです。「なりすまし」は当たり前だと思っていた方がいいのです。
ところで、最近は部活の疲労のためか、授業中に居眠りする生徒が増えてきました。そんな時、私は次のように言います。
「部活をした後、あわてて夕食をとり、塾に来れば眠たくなるのは当然だね。眠るなとは言わない。それでなくとも君たちの年頃は眠たい盛りだからね。時々、瞬間的に意識が遠のいている人もいる。でもこれだけは覚えておいて下さい。君たちのお父さんやお母さんが一生懸命働いて月謝を納めているわけです。その上、車で送り迎えもしてもらっている。だから塾に来ている時間くらいは、なんとか我慢しなさい。それが君たちの義務です。僕が一番残念なのは、せっかく塾に来ているにもかかわらず、塾を生かし切れていない人がいることです。頻繁に居眠りをしている人から月謝をもらうわけにはいきません。僕のそういう気持ちが限界に達した時には、退塾を言い渡すので、恨まないように。」と。
それにしても、冬「休み」になって学校から解放されたと思う間もなく、塾の冬期講習会で教室の中に何時間も閉じ込められれば、発想のみならず身体も委縮してしまいます。たかが高校入試なのに、それがとてつもなく大きな壁に見えて来て、神経質になればなるほど、解ける問題も解けなくなります。
高校入試の時も大学受験の時も、私は子供には普通に家の手伝いをさせていました。「人並みに受験生扱いしてもらいたい」と子供が言った時には「何が受験生だ。甘えるんじゃない!」と叱ったものです。やたら子供のことを心配して情報集めに奔走する今のお母さんからは理解されないでしょうね。それどころか、離婚されるかもしれません。おお〜こわい。