本日2015年7月30日、昨日に引き続き山本太郎氏の参議院特別委員会での質疑を見ました。昨日に勝るとも劣らず、本質的で素晴らしいものでした。論理的で具体的でした。山本氏の質問が終了した時、私は思わず拍手をしたほどです。
一言でいえば、彼は「好戦的な人間ほど戦争に無知である」ということを、国民の前にさらけ出したのです。衆議院・参議院の質疑を通して、昨日と今日の山本氏の追及は最も迫力のある優れたものでした。
他の政治家が法案の文言をめぐって抽象的な議論をしている時に、山本氏はよく調べた具体的な事実を組み合わせ、そこから導かれる結論やその背後にある安倍首相の妄想を実に分かりやすく説明していたのです。
私が最も望んでいた追及の仕方であり、取り上げてほしい論点でした。これこそが論理性に信頼を置く政治家の言論です。
今回の安保法制は、日本人が70年前の敗戦をどのように受け止めたかという問題にまでさかのぼることができます。
しかし、直接の原因はアメリカが始めた大義なきイラク戦争に日本が痴呆のごとく追随し、その後何の総括もしていないことにあります。やれ中国が脅威だ、北朝鮮が脅威だと叫びながら、明白な侵略戦争であるイラク戦争に加担したのです。
国連のアナン事務総長は「安保理の承認がない攻撃は、国際法のへの侮辱であり、国連憲章に合致しない」と言い、アメリカの単独行動を戒めました。
しかし、アメリカという国は、いったん戦争をすると決めれば、何が何でも戦争する国です。熱に浮かされ、狂ったように侵略戦争に突き進む国です。
トンキン湾事件をでっち上げてベトナム戦争を始めました。ありもしない大量破壊兵器があると言ってイラク戦争を仕掛けました。どちらも明白な侵略戦争です。
安倍首相は今回の答弁でも「大量破壊兵器がないことを証明できなかったフセインが悪い」と言っています。論理もへったくれもありません。バカにつける薬はないとは、まさにこのことです。
アフガニスタンの爆撃に始まり、アメリカがイラク戦争へと突き進む中で、一体何人の無辜の一般市民、女性、こどもたちが殺された事でしょう。イラク戦争がなければ「イスラム国」という過激派組織も生まれませんでした。イラク戦争を支持した日本の選択について、政府もマスコミも国民も検証していません。こんな体たらくで安保法制に反対などできるわけはないのです。
私はイラク戦争を反省するか否かがこれからの日本の命運を決定する重大な分かれ目になると考えています。山本太郎氏の今日の追及はまさにこの点を衝いていたのです。マスコミも他の政治家もできなかったことを、彼がまさに徒手空拳でやってのけたのです。
このままいけば、まちがいなく、日本はアメリカと一体となって永遠に戦争をする「普通の国」になります。つまり、中東をはじめとして世界のいたるところで、アラブやイスラムを敵に回して永遠に戦うことになるのです。日本は世界を取り返しのつかない混迷に導く役を買って出ようとしています。
そしてこれが最も恐ろしいことですが、2000年にわたる素晴らしい歴史と文化を忘却し、徹底的に主体性を喪失した虚無の中に足を突っ込んでいくのです。私たち日本国民はこれを座視するのでしょうか。山本太郎氏の今日の国会での発言は、まさにこのことに警鐘を鳴らすものだったのです。