「あとは野となれ山となれ」とは、目先のことさえ解決できれば、後はどうなってもかまわないというたとえをいいます。またの名を、「あとの祭り化政策」といいます。それを推進しているのが財界と官僚(日米合同委員会)です。
彼らは記憶喪失に陥った痴呆のごとく日本の国富を次々に売り飛ばし、政治家を顎で使っています。これが安倍自公政権とそれにヒルのごとく吸いついておこぼれにありつく日本維新の会のトライアングルシンジケートです。
彼らの精神構造は、公共と名のつくもの、たとえば社会保障や水道事業は言うまでもなく、果ては公教育を民営化して食い物にすることを使命とするものです。その先兵となるのが、前回指摘した英語教育改革です。
さらには、種子法を廃止し種苗法を改悪して農業を大資本の傘下に収め、私たちの食べるものさえ投機の対象にする算段をしているのです。彼らはそれを批判したり邪魔したりする人間たちを罵倒し生理的に毛嫌いするように教育されています。自分の意見や政策を語っているつもりでしょうが、何のことはない、単なる操り人形です。しゃべっているのは後ろにいる腹話術師なのです。
私は何も大げさなことを言っているのではありません。6年前から同じ事を言い続けているので、事ここに至っては、「あとは野となれ山となれ」と言いたくなっています。簡単に言えば、「知ったことか。勝手にしろ!」という心境です。
それにしても3・11の東日本大震災と福島の原発事故を経験した後の日本社会が、まさかこんな体たらくになろうとは予想だにしていませんでした。私たちが正気を取り戻したのは、ほんの一瞬だったのですね。もう少しまともな人間もいるのではないかと期待した自分が愚かでした。
その極めつけが東京オリンピックと大阪万博です。大阪万博は時代遅れのカジノを大阪に誘致するための口実、お祭りに過ぎません。
朝日新聞デジタルは次のように伝えています。
「24日未明、大阪・中之島のホテルの一室は、歓喜に包まれていた。パリで開かれていた2025年万博の開催地を決める博覧会国際事務局(BIE)総会の映像を見守るため、国会議員や財界幹部ら約300人が集合。大阪開催が決まり、大いに沸いた。
その直後、突然スクリーンに安倍晋三首相のビデオメッセージが映し出された。「大阪万博を最高の万博にしていきましょう」。首相が笑顔で語ると、拍手が起きた。ほぼ同時に発表された首相コメントには「地域経済が活性化する『起爆剤』になると確信する」と書かれていた。
25年大阪万博は、政府が20年東京五輪後の景気対策として誘致をめざしてきた。地元自治体や財界と連携した総力戦で、4年間で約35億円を誘致費につぎ込み、万博が実現した場合は途上国など約100カ国に約240億円を支援する計画も公表。パビリオンの建設費などを支援する「経済カード」で支持拡大を図った。
会場予定地の整備費や鉄道インフラの延伸などで少なくとも約2千億円以上かかるとされ、具体的な開催内容も固まっていない。歓喜の先には、課題が山積している。」
私はこの記事を読みながら、これは何かの間違い、白昼夢なのではないかと思いました。同時に、ジョージ・オーウエルの『1984』を思い出し、何ともいえない気持ちになりました。私を支えていた心棒がポキンと折れる音を聞いたのです。
猿回しの猿よろしく、いい大人が飛び跳ねる図。世耕ケイサン大臣、榊原経団連名誉会長、そしてヤクザの松井大阪府知事。
例によって例のごとく登場する二人。全く中身のない空疎な言葉をもてあそぶ「合理的な愚か者」。
私は1年以上前に『イベント人間は信用できない』という記事を書きました。そこで書いたことを再確認する思いでした。http://oitamiraijuku.jugem.jp/?eid=412
世の中が、やれ東京オリンピックだ、大阪万博だと盛り上がっているときに、冷や水を浴びせるような人間は必要とされないのでしょう。これからは世間の片隅で土を耕し野菜でも作ることにしましょう。私の役目は完全に終わったのだと思う晩秋の昼下がりです。