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さよならテレビ ドキュメンタリーを撮るということ/阿武野勝彦【1000円以上送料無料】
さよならテレビ ドキュメンタリーを撮るということ/阿武野勝彦【1000円以上送料無料】 (JUGEMレビュー »)
《目次》
プロローグ
第1章 テレビマンとは何者か
第2章 大事なのは、誰と仕事をするか
第3章 表現とタブー
第4章 放送は常に未完である
第5章 世の中には理解不能な現実がある
第6章 ドキュメンタリーを、誰が求めているのか
第7章 「ダメモト」が表現世界を開く──〈司法シリーズ〉のこと
第8章 「ドキュメンタリー・ドラマ」とは何か
第9章 あの時から、ドキュメンタリーは閉塞した世界だった
第10章 題材は探すのではなく、出会うもの
第11章 組織の中の職人は茨の道
第12章 「わかりやすさ」という病
第13章 樹木希林ふたたび
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まず私たちの生命と暮らしを脅かす事実を知ること。それにたいしてどのような認識を持つのか。この国のみならず、世界を壊滅させる災厄とどう向き合うのか。次世代に対してどう責任を取るのか、そもそも責任を取れるのか。自分に何ができるのか。この現実にどう向き合うのか。それを教えるのが教育のはずだが、この国には教育も哲学も存在しない。
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「最悪」の核施設 六ヶ所再処理工場 (集英社新書)
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小出 裕章,渡辺 満久,明石 昇二郎
原発よりもはるかに危険な六ヶ所村再処理工場。私たちの日々の生活が薄氷の上で営まれていることを痛感させられる。同時に、この国には「国民の生命・財産・自由を守り抜く!」と威勢のいいことを言う総理大臣と無能の政治家しかいないことに絶望する。核燃料サイクルと言い、下北半島の再処理工場と言い、3兆円以上の国民の税金がつぎ込まれ、いまだ後始末も将来の見通しもたっていない現実をどう考えているのか。彼らは核兵器を持ちたいという願望と税金をロンダリングして私腹を肥やすことしか眼中にない。北海道の地震だけに目を奪われてはならない。六ヶ所村は今回の震源地の目と鼻の先にあるのだ。
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D.J.ブーアスティン
私にとっては古典の中の古典。三度読みました。そしてその慧眼にいまだに驚いています。
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殺人犯はそこにいる (新潮文庫)
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清水 潔
ジャーナリストと称する職業がある。自称ジャーナリストもいれば、テレビのコメンテーターとしてリベラルに媚びる政権批判をし、名を売り、講演で稼ぐ職業をジャーナリストと呼ぶ者もいる。とんだ茶番である。ジャーナリストとはどこまでも「事実」を追いかける。テレビに出て能天気な解釈や感想を垂れ流している暇などないはずだ。ジャーナリストを志す若い人には清水氏の著作は避けて通れない。その名に値する本物のジャーナリストがここにいる。
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デジタル・ポピュリズム 操作される世論と民主主義 (集英社新書)
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福田 直子
おそらく自民党・安倍政権はSNSを駆使し、分析するデータサイエンス(日本版なのでレベルはまだ低いですが)の重要性に着目し、選挙にどうすれば勝てるか、自分たちに有利な世論を形成し、国民を誘導・分断するにはどうすればいいのかが分かっているのです。そのためのノウハウも蓄積しつつあります。安倍首相の貧困な語彙力からは想像できないカタカナ言葉を聞いていると、それがSNSを分析している集団から教えられたものであることがよくわかります。ただ彼らの致命的な弱点は将来の社会を導く理想がないことです。おそらく、思いもかけない結果が待っていることでしょう。なぜなら、所詮、彼らはアメリカとビッグデータの奴隷でしかないのですから。これからの政治は、好むと好まざるとにかかわらず、この本に書かれていること抜きには語れなくなっているのです。
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安倍政権に対するメディアの忖度が云々されていますが、元々同じ穴のムジナなのです。忘れてならないのは、日中戦争から太平洋戦争にかけて、日本の世論と新聞のほぼ全部は好戦的・拡張主義的だったのです。しかも、当時はまだ言論統制体制が発足していなかったのです。この本は、そうした「一貫して好戦的な世論とそれに便乗する新聞」が先導し、近衛文麿はじめ文民政治家がそれに便乗、軍部がさらに便乗、という構図を一次資料で克明に論証しています。安倍政権を支持するネトウヨの皆さんの日本語力では、まともな読解は無理ですので勧めません。一方、正確な歴史を知るためには「世論」の不気味さを知ることだと気づいている若い人には是非一読を勧めます。
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茫漠の曠野 ノモンハン
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松本草平
著者は大分市にある『天心堂へつぎ病院』の院長、松本文六氏の御尊父、松本草平(本名松本弘)氏です。詳しくは、ブログで紹介したいと思いますが、第一次資料として極めて価値の高いものです。40年ぶりに復刻版を出された松本文六氏と出版社に感謝する他ありません。
戦略も何もない、無謀・無慈悲な戦争を語り継ぐことは、最も崇高で重要な人間の営為だと私は考えています。作家の司馬遼太郎氏は、電話で草平氏に次のように伝えてきたそうです。「先生の臨場感のあるノモンハン戦記に出会えて本当にありがとうございました。私は大東亜戦争の折、戦車隊の一員として従軍しましたが、先生の従軍記以上のものを創ることはできません。」と。
一人でも多くの方がこの本を読まれることを望みます。ちなみに松本文六氏は伊方原発差止め訴訟の原告でもあります。その縁で、この本に出会うことができました。
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「南京事件」を調査せよ (文春文庫)
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清水 潔
全国のネトウヨの皆さんへの推薦図書です。清水氏のこの本を読んでから、「南京事件はなかった!」「南京事件は捏造だ!」と叫びましょうネ。
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広瀬隆
広瀬氏をアジテーターだの、オオカミ少年だの、悲観主義に過ぎると言って批判する人がいる。しかし、ブログで何度も述べてきたように、真の悲観主義こそがマインドコントールによって奴隷根性のしみ込んだ私たちの精神を浄化してくれるのだ。そもそも無知では悲観が生まれようもないではないか。国などいくら破れても結構。せめて山河だけでも次世代に残そうと考える人ならぜひとも読むべき本である。いや、これから幾多の春秋に富む若い人にこそすすめたい。
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チャヴ 弱者を敵視する社会
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オーウェン・ジョーンズ,Owen Jones
【本書への賛辞】

「怒りが生んだ、最高の本」
──ガーディアン紙

最高の論争がみなそうであるように、知性に裏打ちされた怒りが本書を支えている。
──エコノミスト誌

暴動や世界中に広がったオキュパイ運動に照らして考えると、分断社会に関する著者の鋭い分析は、
不気味なほど未来を予知していたことがわかる。
──アートフォーラム誌

情熱と、思いやりと、すぐれた道徳性が結実した仕事だ。
──ニューヨーク・タイムズ紙

政治の定説を見直す大胆な試み。著者は戦後のイギリス史を縦横無尽に往き来し、
階級、文化、アイデンティティといった複雑な問題を軽々とまとめてみせ、
結果として「階級」問題に火をつけ、大きな効果をあげている。
──インディペンデント紙

いまの制度が貧しい人々を見捨てていることに対する苛烈な警告──それが本書だ。
──ブログサイト「デイリー・ビースト」

ジョーンズは、「地の塩」だった労働者階級が政治のせいで「地のクズ」と見なされるようになった経緯を見事に説明している。
──タイムズ紙

この本は、新しいタイプの階級嫌悪と、その裏にあるものを痛烈にあばいて見せてくれる。
──ジョン・ケアリー(The Intellectuals and the Masses著者)

これは「イギリスはおおむね階級のない社会である」という考え方への、論理的で情報満載の大反撃だ。
──オブザーバー紙

情熱的で示唆に富む……この声が届くことを心から願う。
──スコットランド・オン・サンデー紙
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 (JUGEMレビュー »)

紹介していない本が山のようにあります。数日前にこの本を本棚の奥から引っ張り出し再読しました。いや〜面白かった。。とにかくこの本のことを忘れていた自分が信じられない。読んでない人に熱烈に勧めます。ハイ。
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英語の実際的研究 (1969年)
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秋山 敏
高校生にとって、今でも一押しの不朽の名著。でもこの本をことを知っている英語教師は少ないと思います。是非復刊してほしいものです。
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スノーデン 日本への警告 (集英社新書)
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エドワード・スノーデン,青木 理,井桁大介,金昌浩,ベン・ワイズナー,宮下紘,マリコ・ヒロセ
2017年4月18日、朝日新聞がようやく「パノプティプコン」を取り上げました。遅すぎますね。
これから先の日本社会は、ますます荒廃が進み、国民の不満が頂点に達し、やがて爆発します。それを未然に防ぐために、国は国民の監視を強化します。
実際アメリカでは「愛国者法」により、電子メールや携帯の通話履歴が監視の対象になっています。誰が、いつ、どこで、何を読んで、誰と通信を交わしたか、すべて国に筒抜けです。
「パノプティプコン」とはフランスの哲学者フーコーが用いた概念ですが、国民が刑務所の囚人のように監視される体制を言います。監視者の姿は見えませんが、囚人は監視者不在でも、監視を意識することによって管理統制されるのです。これを「パノプティシズム」と言います。
このシステムから解放されるためには、権力がどう管理・統制しようとしているかを知らねばなりません。この本はそれを知るための第一歩です。あなたが無知のまま、奴隷の人生を送りたければ、読む必要はありません。
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A.ミラー
アリスミラーのこの本は、塾を始めるきっかけになりました。ただ生活のためだけなら、他のことをしていたでしょう。『才能ある子のドラマ』とあわせて、当時の私には衝撃的な本でした。人生はどこでどう転ぶかわかりません。人間の奥深さを知ることで、何とか自分を維持していたのです。この本を読むと当時のことが、ありありと思い出されます。ある意味で、私の人生を方向づけた本かもしれません。
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NHK「東海村臨界事故」取材班

2月18日のブログでも書きましたが、仕事のために読むビジネス書の類は、最終的には効率を重視し、最小の資本と労力の投下で、いかにして最大の利益を上げるかということに尽きていると思います。そのための働き方改革であり、そのための賃上げです。そのための人心掌握術であり、顧客対応です。ビジネス書を読めば読むほど、人間は軽薄になり、視野が狭くなっていきます。もしあなたがそれを自覚するきっかけがほしいなら、是非この本を読むことを勧めます。読書はビジネスのためにするのではないということが分かると思います。この本は私たちの日常の風景を一変させるだけのインパクトを持っています。いわば、ことばの最高の意味における「闖入者」なのです。
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服従
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瀬木 比呂志
この本はまだ発売されていません。自分で読んでいない本を推薦するのは邪道でしょう。しかし、これまでの『絶望の裁判所』『ニッポンの裁判』(ともに講談社現代新書)に続く裁判所、司法批判の第3弾が長編の権力小説だということで、過去2冊の本の面白さからして、推薦に値する本だと思いました。『原発ホワイトアウト』の最高裁判所ヴァージョンだと思います。読んでからコメントを追加したいと思います。
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アモン・シェイ
学校なる場所に通っていた時、毎年夏になると課題図書を読んで、読書感想文を書かねばならないのが苦痛でした。課題図書の選定には学校と書店の密約があるに違いないと思っていたくらいです。

偶然巡り合った面白い本の感想を書くのならまだ我慢できたかもしれません。つくづく学校というところは、余計なことをしてくれると思ったものです。

あまりにめんどうくさいので、「あとがき」を参考に、あらすじを書いて提出したら、トリプルAをもらいました。

学校というところは、もしかしたら、人生の退屈に耐える訓練をする場所だったのかもしれません。この本を読んで、改めてそのことを確認しました。別に先生を責めているわけではありません。それほど自覚的に生きるということは難しいのだとため息をついているだけです。
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選挙 [DVD]
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想田和弘監督の観察映画。音楽による演出は一切なく、徹頭徹尾監督の視点で撮られたドキュメンタリー映画。見終わった後、日本の選挙風土の貧困さが浮かび上がる。この国に民主主義はない、ということを改めて確認し、そこから出発するしかない。その勇気を持つ人には必見の映画です。合わせて『選挙2』もどうぞ。
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マックス ヴェーバー
ウェーバーの死の1年前、1919年、学生達に向けた講演の記録です。
一部抜粋します。

「自分が世間に対して捧げようとするものに比べて、現実の世の中が―自分の立場からみて―どんなに愚かであり卑俗であっても、断じてく挫けない人間。どんな事態に直面しても「それにもかかわらず!」と言い切る自信のある人間。そういう人間だけが政治への「天職」を持つ。」(P105〜106)

「さて、ここにおいでの諸君、10年後にもう一度この点について話し合おうではないか。残念ながら私はあれやこれやいろんな理由から、どうも悪い予感がしてならないのだが、10年後には反動の時代がとっくに始まっていて、諸君の多くの人が―正直に言って私もだが―期待していたことのまずほとんどは、まさか全部でもあるまいが、少なくとも外見上たいていのものは、実現されていないだろう。」(P103〜104)

10年後には、ワイマール体制は機能不全に陥り、1933年にはヒトラーが首相に就任します。

平和憲法は、日本人にとって310万人の命と引き換えに手に入れた唯一と言っていい理念であり、アイデンティティーでした。その唯一の誇りを、日本人は損得勘定で葬り去ろうとしています。言い古された言葉ですが、歴史は繰り返すのです。
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中沢 新一
小学校を卒業するころ、将来なりたい職業として思い描いていたのが、天文学者か生物学者でした。プロ野球選手は、自分のセンスでは無理だと悟りました。物ごころついたころから興味があったのは宇宙や昆虫や植物の世界でした。そんなわけで南方熊樟に出会うのは必然的な成り行きだったのです。人間は言葉によって世界を把握しますが、それ以外の把握の仕方があるはずだと、ずっと思ってきました。南方熊樟は、小林秀雄と同じく、直観による世界の把握の仕方を教えてくれました。この本は、言葉によって構成された世界秩序の外に出て、世界を改めて考えたい人に大いなるヒントをあたえてくれます。安倍政権によるゴキブリのフンのような、あまりにばかばかしい政治状況を見せつけられているので、精神の衛生学として一気に読みました。
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こどもの教育から裏金を使ったオリンピック誘致、原発再稼働、戦争準備から武器の売却、安倍政権の裏の権力としてメディアに絶大な影響力を行使する電通。私たちは電通が作り上げた「箱」の中でいいようにマインドコントロールされている。自分の意見だと思っていたものが、実はそう思わされていただけだということに気づかなければならない。音楽をはじめとする芸能情報、その中で踊らされるミュージシャンやタレント、果てはデザイン業界までを席巻する。今や電通の介在しないメディアはないと言ってもいい。利権あるところに電通あり、です。
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前作『日本はなぜ「基地」と「原発」止められないのか』に続く著者渾身の力作。自分の人生を生きたい人にすすめます。ただそれだけです。18歳で選挙権が与えらる高校生が政治を考える際の基本的なテキストになる日がくるといいですね。無理でしょうが。これ以上余計なコメントはしません。まず手に取ってみてください。
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メディアで取り上げられるよりはるか前から日本会議の存在について私は言及していました。電通と同じくタブー視するメディアには心底失望したものです。報道すればタブーはタブーでなくなるのです。何を恐れているのでしょうか。干されれば、何とか生活をする工面をすればよい。それだけのことです。
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磯崎新
帯に「祝祭都市にスタジアムはいらない」とあります。そもそも2020年まで天災と原発事故をやり過ごし、経済危機を乗り越えて存在しているでしょうか。極めて怪しいですね。偶然書店で手に取って読みました。彼の文章を読むと、建築は現世の権力に奉仕するものではなく、想像力の王国を作るものだと思わされます。建築にそれほど興味のない人でも、読めます。いや、いつのまにか引き込まれているでしょう。
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難関中高一貫校で学び、東大に合格しても、それはもはや知性のバロメーターではありません。この本に書かれていることが真実だと見破れることこそが本物の知性です。ニセの知性は既得権益を守るためにはどんな屁理屈でもひねり出します。おまえは何も知らないと言って他人を見下し、金と権力におもねるのです。ニセの知性は理想の灯を掲げることができません。「脳内お花畑」などという幼稚な言葉を使って揶揄するしかないのです。彼らの決まり文句は、他国が攻めてきたらどうするのかという、それこそ「脳内お花畑」的なものです。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」とは、まさに至言です。
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烏賀陽弘道
私の元塾生の縁でお会いしたことのある烏賀陽弘道氏の渾身のレポート。事実を丹念に調べ上げ(これがジャーナリストの本来やることです)事実をして語らしめることのできる稀有なジャーナリスト。この本を読まずに福島第一原発の事故の本質に迫ることはできない。ダブル選挙の前に一人でも多くの国民が読むことを期待します。
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松岡正剛氏の本はどれも面白く、シリーズの千夜千冊を除けばほとんど読んでいます。『多読術』は、高校生にぜひ勧めたいと思います。高校時代に、この本を読んでおくと、さまざまな分野の知的見取り図を手に入れることができます。学校の授業だけではなく、この本を手掛かりにして知の荒野に歩みを進めてほしいと思います。
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カント
安倍首相は「この道しかない」と言って消費税を上げ、集団的自衛権の行使を可能にする閣議決定をし、公約とは正反対のTPPを批准することで、日本の文化=アイデンティティーを破壊しようとしています。

もし私たちが生き延びたければ、そのヒントがこの本の中に書かれています。日本は超大国の「夢」を代弁するだけの国になってはなりません。
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山本 太郎
山本氏の国会での質問を、本になって改めて読み直して感じることは、文字通り「みんなが聞きたい」質問をしてくれたということです。安倍首相が小学生に「なぜ政治家になったのですか」と質問された時、「父親も祖父も政治家をしていたからです」と答えていました。小学生相手に、何と言う悲しい答えでしょうか。語るべき理想を持たない政治家など、所詮は官僚に利用されるだけです。それに対して、山本氏には語るべき理想がある。「政治なんてそんなものさ」というリアリストが発散する腐臭を吹き飛ばすさわやかさがある。それは、彼の身体には収まりきれない理想が持つ力そのものです。彼は言います。「力を貸してほしい。少なくとも、あなたが必要だと思われる社会、私が必要だと思われる社会を作っていきたい。そう思うんです」と。日本の総理大臣にふさわしいのはどちらでしょうか。
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ジョン・W・ダワー,ガバン・マコーマック
おそらく、日本人自身よりも海外の知識人のほうが、日本の問題を正確にとらえていると思わせる本です。読み終えて何気なくテレビを見たら、わが大分県選出の国会議員、岩屋毅氏と江藤晟一氏が、2016年ミスユニバース大分県代表を選ぶ催し物に出ていました。名誉顧問だそうです。いかがわしい宗教団体をバックに票を稼ぐだけでは飽き足らず、こんな大会に顔を出して名前を売ろうとする。大分市長の佐藤樹一郎氏も出席していました。このお三方は、こんなことをするために国会議員や市長になったのでしょうか。国民の税金を使ってやることといえば、テレビに出演してにやけた顔をさらすことでしょうか。もう物事の軽重が全く分かっていません。せめてこの本くらい読んではどうでしょうか。私はこの本に書かれていることの大部分に賛成です。
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出版されてすぐ読みました。国会で、読んでもいないのに、安倍首相が躍起になって否定した事実が書かれています。蓮池氏はあちこちから人格攻撃の対象とされてきましたが、自分にも落ち度があったと認めています。自分は総理大臣なのだから落ち度はないと居直る人間とは好対照です。この本を読んで、拉致問題について今一度国民が考えることを望みます。
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2年半ほど前に求めて、一気に読みました。マルクスの『資本論』の中に書かれていることを、著者が自分なりに消化し実践していく過程が書かれているので、一種のドキュメンタリー文学として読めます。きっと著者と同じ思いの若者は全国にたくさんいると思います。かけがえのない一回きりの人生を、充実して生きたいと思っている人に勇気を与える本です。
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今年度ノーベル文学賞受賞作品。チェルノブイリは言うまでもなく、フクシマでさえ人々は忘れたがっています。もう過去のことだと言い聞かせて。しかし、過去のことではなく、まぎれもない現在進行中の現実であり、私たちが生きている世界そのものです。この本を読んだ後、橋下徹が御堂筋をイルミネーションで照らし出し、F1カーに乗って写真を撮っているところを見ました。その時のセリフ。「大阪はここまでできる!」

もう何と言うか、別世界を生きている人間です。彼の発する言葉は文学とは無縁です。人間が言葉を持ったのは、言葉にしがたいものを言葉にしようとするためです。政治家が発する言葉の軽さと言ったらありません。それだけ現実も軽いものになったということでしょう。
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鈴木大拙の言わんとすることが、ようやくわかりかけてきました。年齢を重ね、日本文化の基底にあるものをじっくり味わうことで開示される世界があるのです。日々の生活に追われていては、この本を読み、味わう暇などないでしょうが、それだからこそ手に取ってみてはいかがでしょう。
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私が長年考えてきた問題を解明するヒントになりました。ブログで書いたように、まず感情を基にした結論があって、それを正当化するために人は「知性」を動員するという、ごく当たり前のことが書かれている。つまり、知の粉飾決算報告書である。
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食う寝る遊ぶ 小屋暮らし (JUGEMレビュー »)
中村 好文
中村さんの著作の中では、個人的に最も好きな本です。読んでいるだけで楽しくなります。限りなく優しい、でも、痛烈な文明批評です。これからの生き方のヒントが満載です。それを一人でも多くの人と分かち合いたいと思い、中村好文論・その3の中で引用させていただきました。
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暮らしを旅する
暮らしを旅する (JUGEMレビュー »)
中村 好文
以下は私がアマゾンのレビューに投稿したものです。再録します。
「もし人に幸福な生き方があるとしたら、中村好文さんのような生き方だろうと、ずっと思ってきました。
建築雑誌をパラパラとめくりながら、ふむ、と思って手が止まると、そこには必ずと言っていいほど中村さんの設計した住宅がありました。
文は人なりと言いますが、その人の書く文章のエッセンスがこれほど見事に建築にも表現されている例はめったにありません。
建築に限らず、食の分野でも、ことばと実物の乖離がはなはだしい時代に、中村さんの設計した住宅や美術館に出会うと、どこか安心するのですね。
そういうわけで、著者の本はすべて読ませてもらっています。
この本も偶然、年末に本屋さんで手に入れ、装丁やカバーの手触りを楽しみながら読んでいます。
読みながらいつの間にかほのぼのとしている自分を発見します。
一日に一編か二編を過去の記憶をたどるようにして読んでいます。
この本の平明さ、やさしさがどこから来るのか。そんなことを分析するのは野暮というものです。
とにかくこの素敵な小さな本は、旅のお供にどうぞ!とすすめたくなります。」
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東大出ててもバカはバカ。
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    最近ブログの更新がないので心配しています、というメールや電話をいただきます。ありがたいことです。別に体調が悪いわけでも、忙しいわけでもありません。

     

     

     

    ここ一カ月の間、ニワトリ小屋や葡萄棚を作り、午前中は畑を耕しながらこれから先の人生を構想していました。夕方からはいつものように塾で生徒と勉強しています。連休だからと言って、消費社会の実験動物よろしく喧騒の中を出かける気にはなりません。

     

     

     

    例年なら、まとまった休みがあれば静かに本を読んで過ごすのですが、最近は読むに耐える本が少なくなり、もっぱら古典の森を逍遥しています。同世代の私の友人はマルクスの『資本論』に取り組み、改めてその素晴らしさに感動しているとのことです。ヨーロッパの知識人の間で人類に最も影響を与えた人物は誰かというアンケートをとったところ、マルクスが断トツで1位だったそうです。

     

     

     

    それに対して日本はどうでしょう。目を覆いたくなるほどの社会の劣化、特に政・財界とジャーナリズムのそれを前にして私は言葉を失っています。しかし、それとて、ウソのように薄っぺらな社会がウソのように薄っぺらな言葉を必要としているだけのことで、カルト化した安倍政権をカルト化した「大衆」が支持しているのと同根です。

     

     

     

    東大生の6割が自民党を支持しているのも、彼らがカルト化した受験教育の勝利者であり、恵まれた情報環境、文化・経済環境の申し子であることを考えれば当然の帰結です。自分が置かれている立場なり環境なりの土台を切り崩すような批評性を身につけることこそが知性の証なのですが、コスパが悪すぎるということなのでしょうね。

     

     

     

    かくして、体制を翼賛することが当然とされ、それに異を唱える者に対しては先回りして「お前は見たいものしか見ていない」というお決まりのフレーズを投げつけ、自らの精神の栄養失調を自覚できないようにされているのです。

     

     

    そういうわけですから、たかが塾教師にできることなどほとんどありません。しかし、エリート医師でも弁護士様でもなく、忖度の達人である「高級官僚」でもない、たかが塾教師だからこそたどり着いた真実があります。今回はそのことについて書きます。

     

     

     

    万が一私の考えに共感(自分を相手の立場に置いたとき、自分の内部で生起するもの:アダム・スミス『道徳感情論』の中の言葉)してくれる人がいれば、以て瞑すべし(いつ死んでもいいの意)です。

     

     

     

    共感するには、捏造された希望ではなく勇気が必要です。勇気はある日突然降ってくるものではありません。それは、身の回りの小さなことに対する違和感を表明し、それに対するリアクションを受け止め、崩落した思考の足場を固める中で出来上がる人格のことです。群れから離れることを恐れない精神そのものです。知性と同様に勇気もまた人間性が刻印されているのです。

     

     

     

    本題に入りましょう。

     

    今から15年ほど前、塾を始めて20年ほど経った頃、ホームページを作りました。その中で「受験に巻き込まれやすい優等生ほど、深く物事を考えることができないという逆説を痛感している。」と書きました。続けて「この傾向がここ数年加速する一方、高偏差値を取ってみたところで、それは単なる囲い込まれた世界での抽象的なゲームでしかなく、現実社会では通用しないということを、かなり多くの親が理解するようになってきたと思う。」とも書きました。『学力低下は塾のせい。PART−1』を書いたのもこの頃です。

     

     

     

    当時は変わり者のたわごとだとして無視されました。「優等生ほど、深く物事を考えることができない」だの「学力低下は塾のせい」だのと、一体この塾教師は何を考えているのだ、というわけです。

     

     

     

    「優等生ほど、深く物事を考えることができない」ということは、「東大生は深く物事を考えることができないということになるのか」というメールを頂きました。私は、例外もありますが「その通りです」と答えました。反論があれば、具体的に論証しようと思っていたのですが、その機会はありませんでした。

     

     

     

    それから7年後、東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故が起こりました。特に原発事故は「優等生ほど、深く物事を考えることができない」ことの例証になるだろうと思いました。私は、原子力工学や土木、建築をはじめとするいわゆる理系の学問は、イデオロギーとは無縁の客観的・中立的な学問だと信じていた人々も、さすがに反省するだろうと思いました。

     

     

     

    しかしその後、政治の世界のみならず、学会やジャーナリズム、経済界で起こった事は、この国の文化の底の浅さというか、歴史を抹殺することも意に介さない鈍感で無知で傍若無人な権力の存在を可視化することとなったのです。

     

     

     

    原発事故後、その権力の手先となってあちこちのメディアに登場し、トンデモ発言をしていた者たちこそ、東大に生息して東京電力から研究費という名目の賄賂をもらい、税金を食い物にしていたエセ学者たちだったのです。

     

    ハイロウズ 「東大出ててもバカはバカ」御用学者編

     

     

     

    私はもう何年も前に安倍政権は鬼胎の政権だと書きました。従来の自民党とは明らかに質が違うからです。では、何が質の違いをもたらしたのか?表面的にはネトウヨに乗っ取られたおバカ政権だとも言えますが、そのおバカ政権になぜ優秀なはずの官僚たちがひざまずき、忖度し、国民の利益をかえりみることがなくなったのか?それに対して国民はなぜ怒らないのか?

     

     

     

    この問いは、東大や慶応の医学部を始めとする難関大学を卒業した優秀なはずのエリートたちがなぜ麻原彰晃というイカサマ宗教家に帰依し、最後には大量殺人を犯すにいたったのか?という問いと重なります。これは、塾教師として生計を立てながら、常に私の頭にあった問いです。これから先は長くなるので次回に譲ります。興味のある方はぜひ続きをお読みください

     

     

    | 文学・哲学・思想 | 21:45 | comments(0) | - |
    悪(霊)が降臨する前に。
    0

      今回のタイトルを見て何を大げさな、今どき悪霊などいるわけがないと考えている人がほとんどでしょう。しかし、輪廻というか歴史の裂け目というか、ある条件がそろえばレイシスト(民族差別主義者)や極右思想に骨がらみ囚われた個人あるいはカルト教団に所属する人間の中に悪霊は降臨するのです。

       

       

      嘘だと思う人は、映画『ウトヤ島、7月22日』を観て下さい。大分のシネマ5bisで現在上映中です。私は初日、4月6日に観ました。

       

       

       


       

       

       

       

       

      この映画はノルウェーのウトヤ島で実際に起きた銃乱射事件を映画化したものです。2011年7月22日、午後3時17分オスロの政府庁舎が爆破され8人が死亡します。同じ日の午後5時過ぎ、オスロから40キロ離れたウトヤ島でノルウェー労働党青年部のサマーキャンプに参加していた十代の若者69人が警官になりすました極右青年により射殺されます。両事件とも当時32歳のアンネシュ・ベーリング・ブレイビクが単独で実行した無差別テロ事件でした。

       

       

       

      彼は犯行直前にインターネット上で声明を出しており、そのなかで日本を“多文化主義を完全に排する”理想的な国の一例として賞賛。さらには「会ってみたい人」のひとりとして、現政権の副総理である麻生太郎の名前をあげていたのです。

       

       

       

      この事件から2年後の2013年7月。その麻生太郎は「憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね」と発言しています。

       

       

       

      麻生太郎が「ヒトラーの方法を学んではどうかね」と発言したのは、愚かにも政治的な方法の問題だと考えていたからです。しかし、それは根本的に間違っています。『わが闘争』を読めば、ナチズムの本質はヒトラーという邪悪なる天才の中に降臨した、人格が崩壊するほどの憎悪と残虐性に対する燃え上がる欲望だということがわかります。麻生太郎のような坊っちゃんに模倣できるわけもありません。

       

       

       

      ヒトラーは、歴史上の客観的事実を「先入観」に過ぎないと考え、それによって自分の思想を検討することを「破滅の方法」と呼んでいます。それは自己の教義と客観的に矛盾するもの(歴史上の事実など)すべてを主観的に考える能力(独善的に思い込む能力)を指すのですが、それを皆が殺していると言います。

       

       

       

      わかりやすく説明しましょう。

       

       

      例の極右美容整形外科医、高須クリニックの高須克弥院長が、2015年10月19日のツイートで、「南京もアウシュビッツも捏造だと思う」と述べました。

       

       

       

      これに対してアウシュビッツ記念館が2019年3月15日、コメント欄で「アウシュビッツは史実」と忠告し、高須院長の認識を正しました。

       

       

       

      いわく「アウシュビッツは世界中の人々の心に絶えず忠告する史実です。 ナチス・ドイツによって造られたその強制・絶滅収容所の史跡は、 人類史上最大の悲劇を象徴しています」と。

       

       

       

      たかが日本の一極右美容整形外科医の発言に対してわざわざ反論するのも、日本の政治思想の変質を憂慮しているからでしょう。

       

       

       

      アウシュビッツ記念館の忠告に対して、高須院長は3月16日「全ての歴史は検証されるべきだと思います。これが正しい科学者の姿勢だと思います」と反論し「オレは自分の信じたいことだけを信じる」と述べています。

       

       

       

      ヒトラーに言わせれば高須克弥院長は、「自己の教義に客観的に矛盾するものすべてを主観的に考える能力」をもっている、例外的な称賛されるべき人物だということになります。

       

       

       

      私はこの「正しい科学者の姿勢」という言葉を見た時、ネトウヨの思想的レベルが象徴的に表れていると思いました。彼らの日本語力で『わが闘争』を読解できるわけがないのです。だから自己流に解釈して自分を正当化するためにヒトラーの名前を持ち出します。彼らにはヒトラーの本当の恐ろしさが分からないのです。

       

       

       

      ウトヤ島の事件から5年後、麻生太郎の発言から3年後、日本でも凄惨極まりない事件が起こります。

       

       

      2016年7月26日の午前1時40分、入所者が寝静まる中、神奈川県相模原市緑区の知的障碍者施設「津久井やまゆり園」の近くに一台の車が停車し、金髪の男が降り立ちます。元施設職員、植松聖。当時、26歳でした。五本の刃物、二本のハンマーの入ったバッグを車から取り出し、施設に向かいます。そして入所者19人を殺害し、26人に重軽傷を負わせるという戦後最悪の大量殺人事件となるのです。

       

       

      犯行後、植松はツイッターに「世界が美しくなりますように。Beautiful Japan!!!!!!」と書き込み、津久井署に出頭し逮捕されました。

       

       

       

      彼は知的障害者を「心失者」と呼び、「日本は社会保障を充実させていって100兆円もの借金を抱えることになりました。あなた自身はそれをどう思いますか?」 「僕の言うことを非難する人は、現実を見てないなと思います。勉強すればするほど問題だと思いました。僕の考え、どこか間違っていますか?」「社会保障に多額のお金をかけてる現実をあなたはどう思うんですか?」と言います。

       

       

       

      このセリフは日本維新の会から立候補して落選した元アナウンサーの長谷川豊のものと瓜二つです。彼らは社会保障のイロハすらわかっていません。もちろん「社会保障を充実させていって100兆円もの借金」というのもウソです。

       

       

       

      それよりも私が心配するのは、最初に、ある条件がそろえば人間の中に悪霊は降臨すると書いたその条件のことです。

       

       

       

      例えば、在特会の桜井誠の「ゴキブリ朝鮮人、叩き殺せ」などというヘイトを放置する安倍政権と大手マスメディア。路上のヘイトデモを護衛する警察。その空気に便乗して「尖閣にやってくる中国人を射殺せよ」と叫ぶ大分市のY田ゼミ塾長のような空洞化した人格。そして少子高齢化が叫ばれる中、命を選別しなければ国民の生活が立ち行かなくなると不安を煽る評論家や経済学者や政治家たち。

       

       

       

      この種の人間が増えることで徐々に悪霊が降臨する条件が満たされていくのです。最初は人間の持つ幻想力としての残虐性が個人を通じて噴出します。そしてある臨界点を超えれば、もはや誰にもその流れを止めることなどできません。雪崩を打って破滅へ向かうしかないのです。

       

       

       

      長くなるので今回はここまでにします。これに関連する記事は数年前に書いています。ぜひご覧ください。

       

       

      「ヒトラーの思想が降りてきた」という犯人を後押ししたもの。

      http://oitamiraijuku.jugem.jp/?eid=211

       

      「思想的確信犯」はいかにして生まれるのか?

      http://oitamiraijuku.jugem.jp/?eid=389

       

       

      | 文学・哲学・思想 | 23:45 | comments(0) | - |
      子供がこの世界を生きるということ。
      0

        昨夜は比較的早く床に就きました。塾の授業が終わった後、昼の畑仕事のせいか、突然睡魔が襲ってきたのです。そのせいで明け方早く目が覚めました。布団にくるまったまま目を閉じていると、色々な考えが浮かんでは消えていきます。

         

         

         

        30年ほど前、雑草が生い茂るだけで何もなかった荒れ地を造成し、塾棟と家を建てました。建てたい家のイメージを思い描くために、書物を通じて世界中の名だたる住宅を調べました。実際に足を運んだものもあります。

         

         

         

        しかし、私が心惹かれるのは、決まって簡素でどちらかというとみすぼらしい風情が漂っている家でした。日常の中で培われた使い勝手のよさそうな家。時間に洗われ、住んでいる人の生き方や心配りが伝わってくるような家でした。

         

         

         

        そういうわけで、住宅メーカーが建てた家に漫然と住むのではなく、安普請でも自ら構想した愛着のある家に断固として住もうと思っていたのです。おかげで、安全・安心・便利を謳った充実した設備はありませんが、心地よい空間と古びて味わいのある佇まいを手に入れることができました。

         

         

         

        春になって日一日と緑が濃くなっていく様を見るのは、何よりの楽しみです。それは本当に繊細な変化なので、細心の注意を払い、耳を澄ませなければかき消されてしまう「気配」のようなものです。

         

         

         

        それはこの土地に植えた様々な樹木が季節とともに奏でるかすかな音や動きなのです。昨夜は巨木となった樹木たちが一斉に水を吸い上げはじめたために、その力で家が宙に浮いているような錯覚すら覚えました。それにつられて、半覚醒の中で色々なことを考えます。

         

         

         

        塾の教師として長い間子どもたちを見てきましたが、2019年の春(これがどんな時代なのかということは置いておきます)に、たとえば12歳や15歳であること、あるいは20歳であることがどれほどの重みを持っているか、それをあらためて考えてしまうのです。

         

         

         

        子ども時代を生きるとは、どんな景色を生きることなのか。どんな世界のただなかを通過することなのか。幼児期から児童期を、そして思春期を私たちはうかうかと通り過ぎてしまいます。それができればそれに越したことはありません。

         

         

         

        しかし、アリス・ミラーの言う「才能ある子ども」は、うかうかとはいかず、鋭敏な感受性と知力がわざわいして、ひそかに耐え、人知れずたたかっているに違いないのです。現実に対処する能力を身につけていないために、身のおぼつかなさを強く意識しています。

         

         

         

        この時期を、危険な分水嶺をわたるようにして歩んでいる子どもは少なくありません。失調に転落するか、辛くもわたりきるかは紙一重です。私は自分の思春期をできるだけリアルに思い出すことによって、彼らと同期しようとするのですが、年々難しくなっています。私の想像力が衰えたからではありません。子どもは元より親も教師も教育の本来の価値を見失ってしまったからです。

         

         

         

        急峻な尾根を前にして足がすくんでいるこどもには命綱が必要です。命綱で結ばれた相手がいれば、不安や絶望や死の恐怖をいくぶんなりともやわらげることができるはずです。そういう相手に出会うのも運不運に左右されるのですが、本人の能力にも依存しているのがつらいところです。

         

         

         

        成長の過程でぶつかる苦しみや痛みは、鋭利に現れるかどうかという程度の差はあれ普遍的なものです。平凡な人生をまっとうするにも、おぼつかなさと孤独を抱えながら懸命に努力する必要があるのですね。

         

         

         

        そのとき支えになるのが、イメージ世界の奥行きや歴史認識の深さ、言葉のトーンや韻律への繊細な感覚です。その源泉は文学の中にこそあります。高校の国語から文学作品を追放し、「論理国語」なるものをでっち上げようとする人間たちは、このことがまったく分かっていません。

         

         

         

        実存としての子どもたちは、命綱も、それで結ばれた相手もいない状態で急峻な尾根を渡らなければなりません。その彼らが通過する世界は、「入試に失敗して希望の高校や大学に行けなかったら大変だ」「成績が下がったら大変だ」「進学実績が下がったら、学校や塾にとって大変なだけでなく自分の収入や将来にもかかわってくる」といった大人のエゴが作りだした世界なのです。

         

         

         

        マイナスの動機付けによって駆動される社会は、なるべく高い保険をかけることに注力します。発達期の子どもにとって、勉強は将来の安全を確保するためにやむを得ずするものとなります。本質的には恐怖や不安に対する意識的な対抗措置なのです。

         

         

         

        そこには強い喜びの感情をともなった満足感はありません。自発的に湧き上がる生命活動の発露でもありません。それは次第に人の心を枯らしていきます。教育の目的は自己利益の最大化に収斂し、教育全体が単色化してきます。

         

         

         

        そんなことを考えていると、突然、若かったころに読んだ伊東静雄の詩の一節が浮かびました。コーポラティズムと新自由主義が跳梁する社会で生き抜くために必要なのは、優れた詩や文学作品を源泉とする、汲めども尽きぬ言葉の泉なのです。

         

         

        そんなに凝視めるな  伊東静雄

         

         

        そんなに凝視〔みつ〕めるな わかい友

        自然が与へる暗示は

        いかにそれが光耀にみちてゐようとも

        凝視めるふかい瞳にはつひに悲しみだ

        鳥の飛翔の跡を天空〔そら〕にさがすな

        夕陽と朝陽のなかに立ちどまるな

        手にふるる野花はそれを摘み

        花とみづからをささへつつ歩みを運べ

        問ひはそのままに答へであり

        堪へる痛みもすでにひとつの睡眠〔ねむり〕だ

        風がつたへる白い稜石〔かどいし〕の反射を わかい友

        そんなに永く凝視めるな

        われ等は自然の多様と変化のうちにこそ育ち

        あゝ 歓びと意志も亦そこにあると知れ

         

         

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