今回この映画を取り上げようと思ったのは、この国の暗部でうごめいている大日本帝国の精神文化(エートス)が堂々と表舞台に登場し、復権を果たそうとしているからです。安倍政権がグロテスクなまでに肥え太り、腐臭を撒き散らし、カルト化したのは、まさに大日本帝国の精神文化から養分を吸収しているからです。
つまり、歴史を振り返るまでもなく、安倍政権は民族差別と優生思想を胚胎しているのです。私が鬼胎の政権と呼ぶ所以です。こういう政権には必ずや同調者が現れます。それが日本維新の会でありN国です。
その総仕上げが、東京オリンピックを利用した国威発揚であり、「大日本帝国憲法」の制定というわけです。野党の皮をかぶった自民党系子ヒツジたちには、この流れを阻止する力も戦略もないでしょう。
それを確信したのが、9月29日の『リテラ』の記事でした。
タイトルは「N国・立花孝志のジェノサイド扇動発言を放置するな! 麻生太郎、杉田水脈らも同根 差別をエスカレートさせてきた安倍政権」です。その冒頭だけ引用しますが、是非全文をお読み下さい。
https://lite-ra.com/2019/09/post-5001.html
引用開始
立花氏は今月19日にアップされた動画で、自民党から衆院選に立候補したこともある元吹田市議・神谷宗幣氏と対談。増加する世界人口について「食べ物は決まっている量しか出ないわけだから、当然、いずれ戦争が起こるのは自然の摂理でしかたがない」などと持論を述べたうえで、このように主張した。動画から書き起こす。
「いや、教育はだって回らないもん。だってバカな国ほど子ども産むから。バカな民族っていうかね。だから、そういう人たちって甘やかすとどんどん子ども産むから。僕、自然の摂理は、人間は食物連鎖のピラミッドで、人間の天敵っていないから、結局、人間が人間を殺さざるをえないっていうのが戦争だと思ってるんですよ。とにかく子どもを産まないように、殺し合いをしなくていいようなコントロールをとにかくかけるしかないのかな。そんな、ある意味、もうすごい大雑把に言うと、そういうアホみたいに子どもを産む民族はとりあえず虐殺しよう、みたいな」
引用終わり。
民族差別と優生思想を精神的な支柱とする国家は必ず破滅します。戦争やテロによるのか、必ず起こる第2の原発事故によるのか、あるいは放射能汚染による緩慢な大量死によってなのか、それはわかりません。
さて、映画の話に戻りましょう。
この映画は民族差別と優生思想が政治と結びつく必然性を見事に描いています。DVDやネットでも見ることができます。とにかく一級の娯楽作品として面白い。真のサスペンスやお笑いは政治と結びついているのです。政治こそが、いい意味でも悪い意味でも文化の最高形態なのですから。そういう意味で、この映画は日本では絶対に作れません。それを可能にする有能な監督や配給会社がないからです。
本作の脚本は、小説『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』の映画化脚本を手掛けたニコライ・アーセル。
かつて優生学の名の下に、知的障害者や難病患者が隔離、不妊処置などの人権侵害が行われた時代がありました。社会問題に関心がない人でも、ホラー映画やドラマの舞台として、こういった背景を持つ病院や施設を知った人もいるでしょう。
誤った優生思想に基づく人権侵害といえば、多くの人がナチスをイメージします。しかし現実では、欧米各国でもある時代までは主流の思想でした。そして日本でも1948年から1996年までの間、「旧優生保護法」の下で知的障害者の女性に対する、本人の同意なき不妊手術が行われたのです。
『リテラ』の記事と『特捜部Q カルテ番号64』は、私のこれまでの問題意識と密接に関連しています。疑う人は以下の関連記事をお読みください。これこそが意図せざる結果を引き起こす安倍政権の恐ろしさなのです。
悪(霊)が降臨する前に。
http://oitamiraijuku.jugem.jp/?eid=561